2022年のロシアにおけるIT(情報技術)への支出額は大幅に減少する見通しだと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが米調査会社IDCのデータを基に4月8日報じた。
ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、IT大手がロシア事業を停止する動きが広がっている。多くは米政府などが科した経済制裁に準ずる形で措置を決めた。
ロシアのIT支出、22年に1.5兆円減少する見通し
IDCは、22年のロシアにおけるIT支出額が前年の推計額312億米ドル(約3兆9000億円)から、その約39%に当たる121億ドル(約1兆5160億円)減少し、191億ドル(約2兆3900億円)になると予測している。
担当アナリストによると、ハードウエアは、供給不足に陥ることから最も支出額が減少するとみられている。今後はルーブル安により輸入ハードウエアの価格が上昇し、需要に影響を及ぼすという。
インテルやAMDなど、露メーカーへの供給を停止
ウクライナでの戦争はロシアのハードウエア事業を混乱させた。ロシアのハードウエアメーカーは、米半導体大手のインテルやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)から部品供給を受けられず、3月初旬以降ほとんど生産していないと、IDCは指摘する。
ロシア電子通信協会(RAEC)の主席アナリスト、カレン・カザリアン氏は、「ロシアにはハードウエアメーカーがあるものの、世界的なサプライチェーン問題によって生産が制約されている」と説明している。