D社の仕入れの実態

 D社で取り扱っている食材は約1000種類あり、約7割を海外からの仕入れに頼っている。海外からの仕入れのため、発注から納入までのLT(リードタイム)が2〜3カ月と長く、1回に発注する量もコンテナの単位にまとめなければいけないという制約がある。これら発注する量の計算とコンテナ単位へのまとめは手計算で行っており、非常に手間がかかる。

 また、中国の食品工場から多く仕入れていることもあり、通関の遅れなどで納期遅れもしばしば発生した。

 もともと、D社の在庫管理の基本ルールとして、全商品一律で月末に平均販売量の1カ月分の安全在庫が残るように発注する、としていた。

 しかし、販売量が変動し在庫が少なくなってくると、都度追加発注を行ったり、あるいは在庫が過剰になると発注を止める、コンテナ単位にまとめるために発注量を増やしたり減らしたりするというような調整を担当者ごとに行ってた。

 その結果、在庫が過剰になることや商品によっては欠品が発生し、また欠品が発生することでお客さまへの対応や仕入先に追加発注などが発生し、業務が混乱している状態だった。

 欠品をなくし、在庫を適正にコントロールしていくためには、個々人に依存した発注のやり方を改める必要がある。そこで、「シンプルで適切な発注ルールを作り、それをみんなで守ること」という方針のもと、改革に取り組んだ。