第8回となる今回は、タイの製造拠点における人づくりとして、「方針管理・日常管理の有効性を高めること」について、管理者の育成を加速させ、目標を高いレベルで達成できるようにする運営のポイントについて説明する。
タイ製造拠点における方針管理・日常管理の実態
私はこれまでに20社以上のタイの製造拠点の支援をしてきたが、ほとんど全ての製造拠点で方針管理(目標管理やMBOとも言われる)を実践した。これは日本企業のみならず、製造拠点で期待される成果を実現させるための管理の仕組みとして、方針管理がグローバルで通用する有効なマネジメント手法と認知されている証拠だろう。
しかし、本当の意味で方針管理を有効に運用できているかと考えてみると、大いに疑問が生じる。言い換えれば、形ばかりの方針管理が横行しているのではないかということだ。
また、製造拠点においては日々の管理として日常管理も重要なマネジメントである。方針管理で期待する成果を明確にしているものの、成果を実現するためには、日常管理をしっかりと行い、少なくとも今よりも悪化させない(日々の問題に速やかに対処・解決する)管理ができていなければならない。
今回はそれぞれの管理の実態から課題を抽出し、その処方箋として管理レベルを向上させつつ、管理者を育成していく取り組みについて整理してみよう。