成功している企業の戦略

 成功している企業には、3つのパターンがあるといわれている。

①いつも先進的な商品(製品やサービス)を提供する
②いつも安い商品を素早く大量に提供する
③いつも気が利いた商品を提供する

 ①の商品が先進的な企業といえば、例としてアップルやグーグルなどがある。かつては何億円もしたコンピューター技術を、誰もが手軽に買えて、役立てることができる商品として作り提供している。

 また、②の早くて安いと言えば、ハンバーガーショップなどがある。例えば、マクドナルドは世界の産地から最も安い材料を持ち込み、標準化した店舗と教育プログラムで、均一で安い商品を提供する。

 どちらも相当の技術や設備が要求されることはいうまでもない。

中小企業の戦い方とは

 では、中小企業ならではの生きる道として、③の気が利いた商品を提供する会社になる、ということを考えてみよう。

 これは、相手にする顧客像を決めて、該当するお客さんのことをよく知り、徹底的に対応することで、大企業にも負けない商売をするというやり方である。

 例えば、一見さんお断りの料亭は、リピーターのお客さんのことをよく記憶し、お客さんの好みや、接待の目的などから、あうんの呼吸でサービスし、商品を選択する。「いつものでね」「きょうは大事なお客さまなんだ」と言えば、全ての段取りをしてくれるこのありがたさが、「気が利いている」姿である。

 これは実務担当者と経営者が同一、あるいは極めて近いが故の芸当である。大企業には、まねしたくてもまねのできない経営手法といえるだろう。

 しかし、それを、商売として作り上げ、継続するためには、単に経営者が孤軍奮闘すればよいということではなく、それなりの「着眼点」と「仕組み」が要求される。