本連載では、株式会社日本能率協会コンサルティングが支援した中堅・中小企業の改革支援をもとに、「中堅・中小企業の改革物語」を紹介していく。どれも企画・開発から調達・生産、人事・総務、販売・営業と多岐にわたり、豊富な改革支援経験をもつコンサルタントたちの経験談を土台としている。

 この連載を行うのは、「中堅・中小企業ならではの競争力ってなんだろうか。決して大手ではまねることのできない、しなやかさと小気味よさ。それを見つけて育て続ければ、勝ち残れるのではないか」という思いがあるからだ。この物語を通して、勝ち残るためのヒントをつかんでいただければ幸いである。

 第1回となる今回はいったん物語からは離れ、自らの会社について、まずは振り返ってみてほしい。

会社の体制を振り返ってみよう

 さっそくだが、以下のチェック項目について考えてみてほしい。

☑ 新しい仕事はほとんど社長が取ってくる
☑ 営業マンは自社製品のコストが分かっていない
☑ 製造原価はトータルでは分かっても、顧客別・製品別・工程別の原価は全く分からない
☑ 顧客の値下げ要求には、ただ従うだけで、反論や逆提案は全く行わない
☑ 長い付き合いの顧客があり、今までは業績が安定していたが、昨今は顧客からの選別が厳しくなっているのに、ただひたすら「じっと」している
☑ 新人の育成や、技能伝承は特別なことは行っておらず、現場で、仕事をしながら覚えるのを待つ
☑ 仕事量が増えると、設備投資や人員増強を行って顧客に迷惑をかけないようにする
☑ 人材不足や短納期に対応するため、ピークの生産量をこなせる人員配置となっている
☑ 労働生産性や設備効率、歩留りといった指標は把握できていない
☑ 作業者に対する改善等の教育は行っていない

 あてはまるものは幾つあっただろうか。
もし上記の項目に5つ以上のチェックがつくようであれば、あなたの会社が負け組になってしまう可能性は十分にある。あなたの会社は大丈夫だろうか。

・売り上げさえ上がれば、必ずもうかる
・昔からお客さまとはうまくやってきたので、黙ってついていけば間違いない
・人は育つものであって、育てるものではない
・昨日までの悪い時を振り返るより、明日どうするかを考えなくては・・・

 こんな考えを持ってはいないだろうか。このような考え方が間違っているとは言わない。しかし、経営を取り巻く環境が大きく変化している今を勝ち残るためには、これまでの考え方を大きく変えて経営に取り組むことができるかどうかが問われる。