前回のコラムに引き続き、地方で製造業を営む中小企業A社について紹介する。売り上げ減少の際にとった対策をみていこう。

なぜ儲からない?

 売り上げが順調に伸びている時は 、利益も増え続けていた 。売り上げの拡大に伴い、人も設備も増えた。やがて場所も手狭になり、新工場を建てた。しかし、景気の悪化で売り上げが減少すると、利益はそれと同じように減ってしまった。

 売り上げが落ちたとき、その分コストを減らすことができれば、利益額は減るものの利益率を一定に保つことができる。だが、売り上げに見合った利益を確保するためには、景気が良かった時に新しく買った設備、工場、新しく雇った従業員といった固定的な費用を減らす必要がある。

会社はなにを目指すのか?

 A 社は中小企業ではあるが 、地元に根付く企業で 、地域社会への影響も少なくない。社長としては、できるだけ従業員を解雇することなく、社業を続けたいという強い思いがあった。A 社はこの難局を乗り越えるべく、事業の在り方をどうすべきかも含めて、改革活動に着手した。

 そこで、あるべき姿としてこんな思いを描いた。

・現在の顧客の業績に左右されることない、幅広い顧客と付き合いたい
・製品の付加価値を高め、利益率を上げたい
・自社の技術を生かしながら、従来の事業分野とは異なる領域に進出したい
・自社ブランド製品を生み出したい
・新しいことにチャレンジをし、常に変化に対応できる人材を作りたい
・日本でものづくりを行い続けるためにも、成長する海外市場での 事業を行いたい

 以上のことから、「今の仕事を見直し、現場の生産性を向上させ、人や設備を増やさないで新しい仕事を取り込む効率化活動」と「新しい顧客と新しい製品を創り出す拡販活動」を行った。