3段階の検討プロセスを踏む
アウトサイド・インを軸に事業活動を展開していく発想は、社会課題や顧客課題の解決を志向するものであり、一見、どのような活動も競争力につながると思うかもしれない。しかし、環境規制への対応や強制労働の廃止など社会的要請に応える調達ポリシーの実行のようなリスクマネジメントを目的とした実践例が多く、必ずしも競争力につながるとはいいにくい。
もちろん、リスクマネジメントの観点としての事業活動(図:右下)は、真偽を問わず、製品の差し止めやデモ運動となり、企業イメージ、ひいては企業価値低下につながるため、真っ先に取り組みたいものだろう。ただ、このような活動は長期的にはスタンダードとなり、差別化要素にはならないと思われる。
では、いかにして経済価値を創出する競争力と社会課題の解決の両立を目指す事業活動(図:右上)を考えればよいのか。
そのためには、①ビジョン展開、②外部環境予測、③ストーリー構築の3段階の検討プロセスを踏むことだ。
①ビジョン展開では、自社のビジョンをかみ砕き、事業を通じて実現したい社会像とその実現に向けた施策を検討する。
②外部環境予測では、自社の属するバリューチェーンの外部環境変化による問題の想定と問題解決の施策を検討する。
③ストーリー構築で、①②それぞれで検討した施策を、長期利益につながるようストーリーとしてつなぎ合わせる。
このプロセスにより、リスクマネジメントとビジョン実現に向けた施策が連動し、競争力につながる事業活動となる。