フェイスブックは21年6月、フリーのライターなどが自身のニューズレター(メールマガジン)を配信できるプラットフォーム「Bulletin(ブリティン)」を開始。ジャーナリストで作家のマルコム・グラッドウェル氏やスポーツキャスターのエリン・アンドルーズ氏、ファッションデザイナーのタン・フランス氏などを起用した。
音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」に対抗して同月に米国で始めた「ライブオーディオルーム」では、発言者や参加者(リスナー)が主催者団体などに寄付したり、参加者が発言者に投げ銭を送ったりできる仕組みを導入する。このほか年内に「サウンドバイツ」と呼ぶ短尺の音声コンテンツをニュースフィード内で提供する計画で、こちらは「オーディオクリエーター基金」を通じてクリエーターを資金面で支援する。
TikTok、YouTubeなども巨額拠出
ただ、これらの取り組みでフェイスブックに対するクリエーターの長期的な忠誠が得られるかどうかは分からないと、米ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
ここ数年で、フォロワー数の多いクリエーターはSNSの重要なコンテンツだと認識されるようになった。ライターやミュージシャン、ダンサー、ゲームストリーマー(配信者)など人気クリエーターの獲得で各社はしのぎを削っており、手厚い報酬を出す動きが広がっている。
例えば、TikTokは20年に、自社のクリエーター基金を通じて向こう3年間で20億ドル(約2200億円)超の報酬を配分すると発表した。
米グーグル傘下のユーチューブ(YouTube)は過去3年間でクリエーターやメディア企業に300億ドル(約3兆2900億円)を支払った。同社は短尺動画「Shorts(ショート)」向けに1億ドル(約110億円)の基金も設けた。写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップは20年11月以降、TikTok対抗の短尺動画「Spotlight(スポットライト)」の投稿者に計1億3000万ドル(約143億円)を支払った。
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