FTCに対しては、インターネットマーケットプレイスにおける不公正な競争を抑制するための規制を導入するようにも指示した。アマゾンやアップル、グーグルを標的にしているという。
また、バイデン政権はテック大手のM&Aにも狙いを定める。潜在的な競争の脅威をつぶす目的で小企業を買収する行為を「キラーアクイジション」と呼び、これを制限するための規制を導入するようFTCに指示した。現在進行中のM&Aについても厳しく調査させるという。とりわけ利用者の個人情報や無料サービスの競争に絡む買収案件に注目するとしている。
大統領令を受け、FTCのリナ・カーン委員長と、米司法省反トラスト部門のトップ代行を務めるリチャード・パワーズ氏は共同声明を出し、「M&Aに関する指針の見直しを共同で開始し、適用できる法律に基づき厳格なアプローチを取る」と表明した。
「現行反トラスト法では規制困難」との指摘
ただ、FTCが20年12月にフェイスブックを反トラスト法違反の疑いで提訴した裁判では、「(フェイスブックが)市場を独占していることを示す法的根拠が不十分だ」として、米首都ワシントンの連邦地裁が訴状を棄却したばかり。従来型のモノの販売競争を前提に消費者の不利益を判断する反トラスト法の枠組みでは巨大ITを規制することは困難だと指摘されている。
今回も、法改正ではなく規制だけでどの程度支配力を低下させられるか分からない。中国IT大手が国際競争力を高める中、米企業の競争力低下にもつながりかねないと指摘されている。
アップルやフェイスブック、グーグルなどが加盟する米民生技術協会(CTA)のゲイリー・シャピロ会長は声明で「(この大統領令は)我々のグローバルリーダーシップ、と苦労して手に入れた成功を脅かすものだ。こうしたM&Aが禁止されれば、ベンチャーキャピタルは干上がり、起業家や小企業に害が及ぶ。米経済は競争力をそがれる」と反発している。
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