また、フェイスブックのリブラ構想は、民間が発行するデジタル通貨、とりわけ、安全資産を裏付けとする「ステーブルコイン」と呼ばれるデジタル通貨への関心を世界的に高めました。

 この中で今月、英国当局も、中央銀行デジタル通貨と民間発行デジタル通貨の両方を取り上げた討議用ペーパーを公表し、広く意見を求めることになりました。

決済のデジタル化が急速に進む英国

 英国は、スウェーデンや韓国とともに、近年、現金の利用が急速に減少している国として知られています。

 英国は、政策的にキャッシュレス化を推進してきた国として知られています。ロンドンに行かれたり、お住まいになられた方は、地下鉄料金が現金とカード(オイスターカード)で倍以上違うことをご存じかと思います。このようなプライシング戦略の活用もあって、近年、英国における現金の利用は減少傾向を辿ってきました。

英国における支払手段別にみた消費者支払額(単位:百万ポンド)
Cash=現金、Cards=各種カード支払い、Other=小切手や自動引き落としなど
(出典:イングランド銀行)

 コロナ禍は、このような傾向に拍車をかけました。感染拡大がとりわけ深刻であった英国では、「現金に触りたくない」という人々が顕著に増加しました。

英国におけるATMからの現金引出額(単位:10億ポンド/週)(出典:イングランド銀行)