面倒くさくても問い続ける。新しい形のラボ
IBM Future Design Lab.の藤森慶太氏は新たな「共生」「信頼」社会をつくるためには問い続ける姿勢も大事だと述べています。既存の仕組み、既存のサービス、コロナにより人々の意識が変わったいま「そのサービスはこれからも欲しいものですか?」と改めて問い直して、不必要なものは終了させ、新たに生み出していくことの必要性を述べています。問い続けるという姿勢はある意味面倒なことでもあります。ですが、面倒くささを受け入れつつ、コロナで変わった意識を社会に根付かせていく必要があると述べます。そのために、IBM Future Design Lab.という組織も作ったとのことです。
当座談会では藤森慶太氏には未来を感じる発言があったときに「オニワラくん(鬼が笑うほどの未来を感じるポイント)」を登場させてもらうという遊びの要素も入れているのですが、今回の座談会では石山アンジュ氏の「(政府や社会などに不満を言うだけではなく)相手が変わらないのであれば自分を変えていく「意識」も大事である」という発言の際に「オニワラくん」を登場させていました。
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社会活動家、建築・地域デザイナー、IBMというテクノロジーカンパニーのメンバーとこれからの「共生」「信頼」を考えていく90分の座談会では一貫して我々一人ひとりの「心」や「意識」「視座」の変化が社会を変えていくという意見に終始しました。座談会の中では今までの資本主義とは別の豊かさを求めるという議論も出てきました。この座談会を振り返り鴨長明の「方丈記」の最後の節を思い出しました。
夫、三界は只心ひとつなり。心、若やすからずは象馬七珍もよしなく、宮殿楼閣も望みなし。(それ、さんかいはただこころひとつなり。こころ、もしやすからずはぞうめしっちんもよしなく、きゅうでんろうかくものぞみなし)
(鴨長明「方丈記」)
「全世界の現象のすべては、ただ心ひとつにかかっている。心がもし安らかでなければ金銀財宝も何の意味もない。宮殿楼閣もなんの意味もない」という意味なのですが、いままさに我々は「心」の大切さを痛感し、それを社会活動に置き換えていくプロセスの中にいるのかもしれません。
―――以上でレポートは終了です。たくさんのキーワードに溢れた座談会のエッセンスをIBM Future Design Lab.の中村芽莉氏のグラレコでも感じていただけましたら幸いです。