鬼が笑うほどの未来の話をする座談会「オニワラ」
2020年12月、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)のFuture Design Lab.とともに新たなオンライン座談会をスタートさせた。タイトルは「西村真里子のオニワラ!『鬼と笑おう』〜未来をつくる座談会 powered by IBM Future Design Lab.」だ。
“オニワラくん”というキャラクターを新規に作成し、日本IBM 執行役員戦略コンサルティング&デザイン統括 リーダーの藤森慶太さんが座談会の途中で“鬼が笑うような”未来を感じるポイントがあれば「そこ、〈オニワラ! ポイント〉だね!」と“オニワラくん”を登場させるようなカジュアルなフォーマットをとっている。私はIBM Future Design Lab.のメンバーと企画に関わらせてもらった。ビジネスイベントだが、カジュアルに実施することにより得られた効果を当記事で紹介する。
オニワラ君
実験的に行ったVOL.0(2020年12月10日開催)では日本IBMのThought Leaders(専門家)の髙荷力さんが日本IBM初の生活者調査から導き出した新たな商圏「お手元商圏 / エンゲージメント商圏」をトピックに座談会を実施し、ゲストとして“ POCKET PARCO(ポケットパルコ)”アプリなどでお手元商圏をすでに実施している株式会社パルコの執行役員 林直孝さんと、浜松市のデジタル・スマートシティ推進事業本部専門監の瀧本陽一さんをお招きしオニワラ!オンライン座談会を行った。

コロナにより変化する生活者購買スタイルを日本IBMの調査とパルコ、浜松の実事例から立体的に浮かび上がらせ藤森さんの「それ、〈オニワラ!ポイント〉だね!」と未来を感じるポイントがたびたび指摘された。それは具体的には以下のような事例だった。
1) パルコではコロナにより渋谷や札幌のような中心街店舗よりも調布や浦和のような生活者が多い地域のほうがコロナの影響が少なかった。同時に、渋谷インバウンド訪日客が減ったがオンラインのパルコには世界30カ国からの売り上げがあがった=ローカルとグローバル、足元商圏とお手元商圏をどちらも有する必要性。
2) 2020年11月に新装開店した大阪心斎橋のパルコ。入場制限をつけて予約制で新装開店店舗にお客様を招待したところ、人混みを避けてゆっくり店舗内を見られる安心感から通常の買い上げ率が80%を超えた。全国の店舗の平均が50%とのことで、1.5倍強になったのだ。これからは昭和・平成の新装開店のように行列を作って大人数を一気に動員するのではなく、一人ひとりの顧客に対して丁寧な接客をすることがロイヤルカスタマーを増やし売り上げ増につながる。
3) コロナにより都心での生活よりも、地方移住希望者が増加している。また、オンラインでの仕事が中心になるビジネスパーソンではオフィスは不要になりワーケーションのような新たなビジネススタイルも増えている。浜松市ではワーケーション利用者を受け入れるための施策を積極的に行っている。
未来を感じる〈オニワラ!ポイント〉に対して藤森さんがコメントをする際には、日本IBMがお客様やビジネスパートナーに対して伝えていた貴重なメッセージが含まれている。カジュアルな座談会だからこそ、藤森さんの知見がポロリとこぼれ出す。これこそまさにビジネス座談会をカジュアルに実施する醍醐味である。
より多くの方に有益な情報を伝えるために、企業の冠を外す
この「オニワラ!」は当初「IBMダイアローグ」という名称で進める予定だった。IBM Thought Leadersが発信するメッセージを、実践者を交えて“対話”することにより、より良い社会を作り上げる実行者が増える世界を作りたいと考えつけたネーミングだ。「Thinker から Doer へ」 を標語に IBM Thought Leaders メッセージを実践している企業・自治体・団体をお招きし、アクションを起こしやすいキッカケを提供することを目的としている。ただ、IBM Future Design Lab.のメンバーと会話をしている際に、メンバーの一人、幸野恵子さんが「IBMダイアローグという“IBM”という冠をつけてしまうと興味無いヒトには全く刺さらないので変更すべきではないか?」という指摘があった。なるほど、である。普遍的なメッセージを発信しているにもかかわらず一部の関心層にしか刺さらないという状況を起こしかねないタイトルが「IBMダイアローグ」には含まれていた。
今回の企画は、日本IBMとしてはチャレンジングな企画である。いままでの日本IBMのお客様やビジネスパートナーに向けてのメッセージではなく、toCustomer / toGovernment / toSociety, 変わりゆく社会、生活者に対してメッセージを発信し、テクノロジーやデータを活用しより良い社会を作り上げることを目指している。私は日本IBMに新入社員として入社したので経験として染み付いているのだがインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)の名前のとおり、日本IBMはビジネスパートナー向けの情報発信が中心で社会全体、生活者向けに発信することは少なかった。それがコロナになり、デジタルトランスフォーメーションが進む社会になり、企業向けのメッセージだけではなく生活者そのものにも発信が必要になる。
そこで、IBM Future Design Lab.の古長由里子さん率いるチームのメンバーと「ビジネスイベントだけど、敷居が低く、日本IBMが発信したいメッセージがより多くの方に届くようなたたずまいを考えよう」と会議を重ねて生み出されたのが「オニワラ!」だ。これまた先述の幸野さんが「Future Design Lab.=未来の話をする、未来の話は鬼が笑う」という発想からヒントをくれたことにより生まれてきた。
結果として集客時から「なんか楽しそう」「オニを一緒に笑わせたいです!」というポジティブな反応があり、約1週間前の告知、特別に広告も打たずに200名近くの方に当日視聴してもらえた。また、平均視聴時間40分強という継続視聴時間も結果として得られた。
真面目に伝えたいことがあるからこそ、カジュアルな姿勢を保つ
実験的に行ったオニワラVOL.0からのファインディングスは大きい。ビジネスイベントであったとしても、また、真面目なトピックを扱うとしても、敷居を低くカジュアルなたたずまいで少しでも興味ある方に両手を広げて受け入れるような寛容な態度が大切だ。どうしても過去の価値観からビジネスイベントなので真面目にやらなければいけない、という固定観念を捨てることにより、真面目な想いはより遠くまで届くのではないか、そのような手応えを感じている。そして、手応えを感じたからには座談会で終わらせるのではなく、そこで出てきた良いアイディアを企画として発展させて新しい時代の働き方や共創のあり方も模索していきたいと考えている。
「オニワラ!」では新たなビジネス座談会のあり方を模索し続ける。座談会から始まる新たなプロジェクトや事業創造も狙っていきたい。ぜひ扱うトピックだけではなくこのビジネスフォーマットにも興味がある方には次回以降も気軽に覗いてみてもらいたい。諸手を挙げて歓迎させていただくし、ぜひ新たなビジネス発展のあり方にアドバイス頂けそうな方にはご意見もいただきたい。






