NBAが開始した“Top Shot”は、まさにその一例です。NBAはもともと、入場料や放映権収入だけでなく、さまざまなライセンスプロダクトの販売など、多方面からの収入獲得に努めてきました。その中でも有名なものの一つに、選手の「トレーディングカード」があり、有名選手の希少なカードは相当な高値で取引されます。このため、銀行券が暗号資産という発想に結び付いたのと同様に、トレーディングカードに相当するデジタルコンテンツを作り、ブロックチェーンで管理できないかという発想が出てくるわけです。

©NBA Top Shot

NBAの“Top Shot

 2020年6月に提供が開始されたNBAの“Top Shot”は、NBA選手の華麗なプレー動画のコンテンツをデジタル化し、「デジタルカード」としてブロックチェーン上で売買できるようにしたものです。米国のブロックチェーンゲーム会社であるDapper Lab社がプラットフォームを提供しています。

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 現金同様、この手のコンテンツの課題は、「海賊版」などの複製の問題です。コンテンツに対価が支払われる大きな要因の一つは、その「希少性」「複製不能性」にあるからです。この点、Top Shotではブロックチェーン技術を活用し複製を防止することで、コンテンツ毎に「50部限定」などの管理ができます。このため、同じモノを持つ人が少ないほど希少性が生じ、高い価格が付きやすくなります。この点は、美術の「リトグラフ」が最初に刷数を限定することで希少性を創り出すのと似ています。

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