連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第27回。デジタル技術の中でもとくに注目度の高いブロックチェーン。その応用に積極的に取り組んでいる主体の1つに、米国のプロバスケットリーグ(NBA)が挙げられる。元日銀局長の山岡浩巳氏(フューチャー取締役、フューチャー経済・金融研究所長)がNBAの取り組みを解説する。 

 デジタル技術の中でも期待を集めているブロックチェーンや分散型台帳技術が、最初に応用されたのが暗号資産だったことには理由があります。「分散型の仕組みの下で権利の連続」として、まず思いつきやすいのは「お金」です。銀行券は、特定の帳簿の管理に依存せずに、「紙」の受け渡しによって「複製」や「二重譲渡」を防ぎながら「権利の連続」を実現する仕組みと捉えることもできます。したがって、同様の仕組みをブロックチェーンで実現できないかと考えるのは自然でしょう。

 しかし、ブロックチェーンや分散型台帳技術の潜在的な応用範囲は暗号資産に限られず、最近ではさまざまな取り組みが行われるようになっています。この中でも注目を集めているのが、米国のプロバスケットボールリーグ、NBAのブロックチェーン活用の取り組みです。

なぜNBAがブロックチェーン?

 ブロックチェーンや分散型台帳には、いくつかのメリットがあります。特定のコンピュータの稼動時間に制約されず、仮に一部のコンピュータが止まったとしても、1年365日、1日24時間動き続けるシステムを作ることが可能となります。また、デジタル技術を通じて「複製」や「二重譲渡」を防ぐことが可能です。したがって、マネーに限らず、証券や不動産、絵画や宝石など、広範なモノやサービスの取引や管理への活用が可能と考えられるわけです。

 とりわけ最近、この中で、スポーツや音楽、ゲームなどのエンターテインメント分野でブロックチェーンを応用する動きが見られています。これらのコンテンツも、「複製や二重譲渡を防ぎたい」「1年365日、1日24時間取引を可能にしたい」といったニーズは同じだからです。