多面的な視点を実現するデジタルツイン、基盤となるのはデータプラットフォーム

 最後に、DXを進める上での基盤についてお話しします。DXは全社的な取り組みであり、顧客起点、戦略起点など、多面的な視点で進める必要があります。

 この多面的な視点を実現するのが、現実同様の環境をデジタル上に再現するデジタルツインという考え方です。2003年に製造業で提案され、モニタリングやシミュレーションの精度・効率を上げるために使われてきましたが、近年では製造業以外にも浸透しつつあります。

 デジタルツインを実現するには、大量データに対応できる環境の構築が不可欠です。ここでデータプラットフォームが重要になります。データプラットフォームには、大量データの収集から分析、利用に至るまでを効率よく処理するため、機械学習やデータサイエンスなどの高度な技術を統合する必要があります。

 自社に合ったデータプラットフォームを構築し、デジタルツインが実現すると、より精度の高い分析も可能になります。例えば米国の電気自動車会社Tesla社では、顧客のさまざまな走行データをクラウド上に収集しています。このような、これまで集められなかったデータを収集・分析することで、新事業の創出や既存事業の改善の糸口が見つけやすくなると考えられます。

 DXは、企業を根本から変えるような難しい取り組みです。だからこそDXに成功した企業は、長期的な成長が見通せるようになります。大きな変革は、スタートを切るだけでも相当なエネルギーが要るかもしれません。新型コロナウイルスの問題などもあってDXの機運が高まっている今、企業の在り方、社会の在り方をもう一度見直し、大きな一歩を踏み出していただければと思います。