【処方箋②】前提を捨てる。ゼロリセットでビジネスを組み立てる

 営業方針やコストダウン施策を立案する上で特に重要な点は、過去の常識、不文律、しがらみとの決別である。改革施策の検討では、現状から改善アイデアを発想する「リサーチアプローチ型」ではなく、ニューノーマルの時代に沿ったビジネスをゼロからつくり上げる「デザインアプローチ型」で志向すべきである。

 つまり、新しい生活様式に即した新しいビジネスをゼロリセットで組み立てる発想である。テレワークによる在宅勤務の定着は、駅前一等地の全国営業拠点の集約、大規模な開発拠点の必要性を根本から見直す機会となる。例えば、営業活動を直行直帰型の訪問営業とインサイドセールスを組み合わせたハイブリッド型に切り替えることが考えられる。これにより、従来の客先への訪問移動時間が圧縮され、営業の生産性向上が期待される。

 また、現社員の働き方に限らず、採用活動においても、完全テレワークを推進することで、地理的制約がなく、日本全国を採用対象エリアにすることが可能となる。全国の地元で働きたい優秀な人材を採用できるチャンスとなる。特に間接部門業務やソフトウェア業界のエンジニア採用などでは、完全テレワーク型と親和性が高いと考えられる。

 間接業務においても改革余地は大きい。大企業においてもいまだにFAX受注や紙資料と印鑑による承認フローなど、アナログ業務が残っており、間接業務の生産性向上を妨げている。これまで各職場の個別事情で進まなかった業務をゼロベースで見直すべきである。事業別の業務の特殊性や担当者別の個別業務を標準業務フローにまとめ、システム化を通じて生産性向上を図ってもらいたい。