コロナが炙り出した新しい働き方とリーダーシップ

本質に目覚めた時に動き出す、真の働き方改革への第一歩

JBpress/2020.7.31

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本コンテンツは、2020年6月26日に全編オンラインで開催されたJBpress主催「Workstyle Innovation Forum 2020 <夏> 生産性を高め、イノベーションを創発する!“経営戦略”としてのワークスタイル変革」での講演内容を採録したものです。

 株式会社people first
代表取締役(前 株式会社LIXILグループ執行役副社長)
八木 洋介 氏

オンラインは手段の1つに過ぎない。今こそ考えるべきなのは「働き方の本質的変革」

 今さら言うまでもないかもしれませんが、日本の組織や働き方には課題が山積みのままです。最近のデータを見ても、日本の労働生産性は時間当たりの数字で比較するとアメリカやドイツの3分の2以下。

 ビジネスパーソンのやる気に関する調査でも140カ国中135位、男女平等の進捗比較でも153カ国中121位と、いずれも最下位同然のレベルです。要するに、生産性が低いばかりでなく、やる気もなければ、多様性を受容して人を生かしていこうという姿勢も示せていないのが日本だということです。

 端的な問題点は人事の領域でも「不思議」と呼んでもおかしくない内容でいくつも根深く残っています。うわべでは消失したかに見える年功序列の風土は、実はいまだに続き、特に大企業ではチャレンジャーよりも「失敗しない者」が出世します。

 定年制という欧米先進国では禁止しているような制度をいまだに続けてもいます。私は65歳ですが、今が人生の中で一番調子が良くて、いい仕事ができそうなのですが、同じような65歳の社員がいても定年退職しなければいけないということです。初任給にしても、新卒生にどれほど実力やポテンシャルの差があったとしても一律の金額になっています。

 こうしていくつかの客観的なデータと、誰もが知る日本の株式会社の不思議を並べただけでも明白ですね。この国には大きな問題があります。

 一方で世界はVUCAの時代と呼ばれ、未来は読めず、正解は見えず、そうして複雑化するグローバル競争は厳しさを増すばかり。そんな中で訪れたのが今回のパンデミックです。

「勝つ」ことよりも「みんな一緒」を大事にし、環境変化に対応しようとしない「日本の会社」と「日本のサラリーマン」が、そんな時代を生き抜いていけるはずもないのです。

 確かに新型コロナウイルスの問題が浮上する以前から、日本では「働き方改革」という呼び声が上がってはいましたが、遅々として進んでいない状態ともいえました。

 それが今回のパンデミックによって、否応なくオンラインを駆使せざるを得なくなった。そうして体験したテレワークによって「オンラインは意外に使える」という発見に至った方も少なくないでしょう。確かに便利です。

 多くの会社が、これを機にオンラインによる働き方へシフトしようとしています。しかし、本当に目指すべきは、生産性の向上や新たな企業価値の創造であって、オンラインの働き方はそのためのツールに過ぎません。

 ポスト・コロナの時代に、どのような働き方をすることが経営に資するのか。リアルとリモートのベストミックスを考えることが本質だと思うのです。