本コンテンツは、2019年9月24日に開催されたJBpress主催「Workstyle Innovation Forum 2019」での講演内容を採録したものです。
<基調講演>
明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 野田 稔氏
働き方改革をする目的は
働き方を変えることではなく成果を出すこと
働き方改革とは何なのでしょうか。恒常的長時間労働を改善するのが趣旨です。加えて私は、今の働き方改革の中でおざなりになっていると感じていることがあります。それは冷たい人間関係や上司への忖度(そんたく)といった職場の息苦しさです。いずれにしても、今のわれわれの働き方は健康的とはいえません。これでは仕事の生産性は上がらない。心身共に疲労が蓄積しているために、仕事に集中できないプレゼンティズムの状態です。
現状を踏まえると、働き方改革はあらゆる人にとって取り組むべき課題です。事実、最近では働き方改革の推進体制も広く共有されています。ところが実態はというと、多くの会社の働き方改革は「なんとなく進んでいる風」でしかありません。現場のやらされ感が拭えない。なぜなのでしょうか。現場の方々にヒアリングをしてみると「やるべき仕事は減らないのだから早帰りする意味がない」「お客さまがいる以上どうしてもやらなければならないことは厳然として存在する」といった声が多数ありました。根底に「なんとなくやらないと不安・・・」という気持ちがあると考えられます。