他のスーパーが真似できないことをやっているわけではなく、特別スキルの抜きんでた社員がいるわけでもありません。厳しい環境変化から目をそらさずに地道な改善を1つずつ積み重ねてきています。

 店の各売り場の責任者である「主任(チーフ)」がエリアの特性を踏まえた仕入れを行い、日々の売場オペレーションを任されています。それを部門責任者である「課長」が全店企画の立案や部門の売上管理を行う傍ら、空いた時間に各店の売場を巡回し商品のチェックと売場づくりの指導を行っていました。これが小規模スーパーの成功モデルのひとつであったと思います。いわゆるチェーンストア理論とは一線を画した個店経営型のスタイルです。

 しかしA社ではこのモデルが、先に述べた「人員不足」が進むにつれ崩壊していきました。課長は以前のようにゆっくり店舗巡回して指導しているような余裕はありません。山間部の店舗には半年以上足を運ぶことができていません。1日の半分以上は人員不足の店舗のバックヤードや売場に入っての商品づくり・売場づくりの応援業務で終わります。

 そこで環境変化(深刻化していく人員不足)に対応していくためのブレークスルーが必要との危機感から、管理者不足の中での店舗マネジメントの見直しと店舗業務の効率化に着手してきました

管理者不足の中での店舗マネジメント

 まず、これまで経験ベースで店舗指導していた管理を、計数管理を通して店頭活動をチェックすることから始めました。必要に応じて課長が指導し凝縮した時間で従来同等の、あるいはそれ以上のマネジメントを試みます。

 実はこれまでに計数管理が仕組みとして回っていなかったこともあり、丁度良い機会となり、そして様々な気づきがありました。従来は売上や粗利といった結果だけを確認し、あとは精神論で鼓舞するといった感じでしたが、課長を中心に指標を階層化しロジカルに原因を追究していく癖をつけていきました