ではなぜデジタル変革は必要なのか、という根源的な問題を今一度考えてみましょう。最も分かりやすい例として、かつて世界の写真フィルム市場でトップシェアを競ったコダックと富士フイルムという日米のグローバル企業がたどった道のりを見てみます。

 皆さんご存知のように、デジタルカメラという技術革新によって写真フイルム市場は、一気に収縮していったわけですが、そんな未来が見えていなかった1990年代の末から2000年代の初頭、コダックはそれでもフイルム事業に固執し、結果として経営破綻を起こしました。一方、富士フイルムは積極的な挑戦で業態変化を実現し、今なおグローバルトップ企業として成長を続けています。

 ゴール到達までのシナリオ、つまり先が見えない現代は「VUCAの時代」と呼ばれます。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)に支配されるビジネスシーンで生き残るために、デジタル変革は不可欠だということを象徴する事例が、このコダックと富士フイルムの話なのですが、その一方でデジタル技術そのものが、環境変化と不確実性を生み出す源にもなっています。

 つまりDXという挑戦は一過性のものではなく、持続性をもって挑み続けなければ生き残れない課題だということ。米国では「2011年度に小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」とさえ言われています。

 例えば、雇用(企業)と労働の関係さえもデジタルプラットフォーマーによって変わりつつある現実を、皆さんも痛感されているはずです。つまり、デジタル変革とは大きな環境変化に対する企業の「適合」と「進化」だということです。

 働き方改革がまさに進行する最中に起きた今回のコロナウイルスによる影響で、多くの事業者が望むと望まざるにかかわらず、テレワークを余儀なくされている今、私としては「この時期を、あたらめて『自分たちを省みる』時間と『改革』のきっかけにしてほしい」と思っています。

 今回のことをダメージだけで終わらせないために、例えば新しい働き方を自ら試したり、ビジネスの取り組み方の中に最新技術を採り入れるきっかけにしたり、サプライチェーンの在り方やビジネスモデルの進め方を再検討したり・・・というように。

 CDO Club Japanでも、これまでイベントとして開催してきたCDOサミットを、6月にオンラインによって開催するアプローチにトライします。

 テーマは「社会課題に取り組むデジタルリーダーの取り組みから学ぶ」。本日お話しきれなかった情報や知見について、詳しく発信していく予定ですので、ぜひご参加いただければと思っています。