どのようなプレイヤーが参入を考えているのか

 現在は認定事業者の発表を待っている段階だが、既に以下のような大手企業が参入に名乗りを上げている。各社の動きを見てみよう。

●三菱UFJ信託銀行
 2019年度中のサービス開始を目指し、2018年11月19日より情報信託銀行サービス「DPRIME(仮称)」の実証実験を開始。参加者のスマートフォンにダウンロードされたβ版アプリを利用することで、参加者が「行動データ」「歩行データ」「金融データ」をどの程度自分の判断でアプリへ集約するのかを検証した。加えて、データ提供オファーに対する応諾の可否や、希望対価水準等の検証を行った。

 同実験にはアシックス、NTTデータ、Japan Digital Design、テックファーム、東京海上日動火災保険、no new folk studio、マネーツリー、三菱UFJ銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ、レイ・フロンティアの全10社、合計1000名が参加しており、各社の関心の高さが伺える。

●電通グループ
 2018年9月に電通テックの子会社として「マイデータ・インテリジェンス」を設立。2019年春に情報銀行サービス「MEY」を開始させるために準備を進めている。データの暗号化や管理は電通が請け負う。

 消費者は一度MEYに個人情報を登録しておけば、様々なキャンペーンに参加できる仕組み。また、個人の判断で企業ごとに提供する範囲を変更することも可能だ。既に2018年11月19日から企業向けに個人情報を管理・運用するためのプラットフォーム「MEY ベネフィット」の提供を開始し、プロモーションを行っている。

●日立製作所
 2018年9月10日、日立コンサルティング、インフォメティス、東京海上日動火災保険、日本郵便、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムと共に実証実験の開始を発表。その成果を基に2019年度中の事業化を目指すと報じられている。

 家庭での電力使用量や、歩数等の活動量のデータを収集。収集されたデータは家電向けの保険商品や、在宅率に応じた最適な宅配ルートの構築等に活用される。総務省の「平成30年度予算 情報信託機能活用促進事業」の一環として2019年3月末まで実施される予定。

日立製作所他5社による実証実験のイメージ(画像はプレスリリースより引用)

●富士通
 2017年8月中旬から約2ヵ月間、イオンフィナンシャルサービスと共に実証実験を実施。自社の従業員500名を対象に、情報銀行が個人向けに行う「一次サービス(情報の預託)」に対して消費者が感じる抵抗感や課題感の把握や、一次サービスで得たデータを活用・販売する「二次サービス(情報の開示)」に関する消費者の関心事項の抽出を行った。

 さらに2019年1月29日には大日本印刷と共同で、情報銀行事業普及のためのプラットフォームを開発・提供することを発表している。

 このように様々な企業が実証実験を行い、本格参入に向けた準備を詰めている段階だ。