情報銀行がもたらすビジネスの変化とは
政府によって推進され、日本企業がGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に立ち向かうための手段としても期待がかかる「情報銀行」。今はまだ黎明期にあたるが、今後参入に意欲的な多くの企業や政府によって、ビジネスモデルや制度が整えられていくはずだ。
消費者の中には個人情報を第三者に委ねることへの抵抗感を持つ者も少なくないが、2018年12月11日に情報処理推進機構が発表した「2018年度情報セキュリティに対する意識調査」の個人情報の取り扱いについての項目を見ると、健康状態などの個人を特定できない情報に関しては漏えいした場合も「補償不要」と答えている人の割合が高い。取得するデータや活用先によっては、改正個人情報保護法によって導入された匿名加工情報制度が普及の一助となるかもしれない。
また、2018年11月29日に中部電力は契約者データを活用した「地域特化型」の情報銀行事業への参入・実証実験の開始を発表したが、このように事業者によって異なる色を持つ情報銀行が多数登場していくだろう。
しかし、収集したいデータが個人に近いものであればあるほど、同意を得ることは難しくなる。また、前述した通り情報銀行サービスを提供する事業者は高い信頼性と共に、消費者や情報を提供する側の事業者にとってどれだけ魅力的なメリットを提示できるかを迫られることになる。
実際の運用によって、活用に適した分野やそうでない分野もはっきりしていくだろう。まずは認定企業第一号の発表が待たれるところだ。