CUI、GUI、そしてVUIへ
主にデバイスとユーザーとの接点(Interface)を示すのが、UI(User Interface)。その中でも最新のトレンドである音声UI(VUI)について見ていく前に、コンピュータが登場した当初広く使われていた「CUI」から、現在主流の「GUI」へと移り変わってきた背景について見ていこう。
●CUI(Character User Interface)
キーボード入力のみを用いたソフトウェアの操作方法。画面に表示されるのは文字情報のみ。マイクロソフトのパソコン用OS、MS-DOS等で採用されていた。現在のWindows PCでも「コマンドプロンプト」を開けばCUIを体感できる。
●GUI(Graphical User Interface)
現在のOSやアプリケーションの大多数で使われているUI。画面に表示されたアイコンや画像を見ながら、マウスや指を使って直感的にコンピュータを操作できる。1970年前半、米Xeroxのパロアルト研究所で開発されたものが原型。Apple Computerが1984年に発売したMacintoshに標準搭載されたことで脚光を浴び、現在に至る。タブレットPCのタッチUIもGUIの一種といえる。
●VUI(Voice User Interface)
声によりデバイスのコントロールや情報のやり取りを行うUI。音声認識や自然言語処理、音声合成技術の発達やAIの進化によって急速に注目が集まっている。
2018年9月6日に電通イージス・ネットワークのiProspect Japanが発表した、アジア太平洋地域における音声技術に関するマーケット調査結果「The Future is Voice Activated - 未来は音声認識 -」を見ると、調査対象者の62%が過去6ヶ月以内に音声認識機能を使用したと回答、56%が過去6ヶ月の間に音声技術の利用頻度が上昇したと回答している。さらに95%がこの先一年間音声認識を使い続ける意思があると回答しており、VUIの普及・発展を予感させる結果となっている。
だが、こと日本においてはスマートフォン利用者の40%しか音声技術を使用していないことが判明しており、インド(82%)や中国(77%)に比べるとVUIの普及が遅れているといえる。また、日本の回答者の内30%は一度も音声技術を使用したことがないと回答。その原因として同調査では、2017年10月5日にKDDIが発表した「日本人の音声操作に対する意識調査2017」等でも度々指摘されてきた、日本人の「人前で音声操作することに抵抗(羞恥)を覚える」という国民性や、「正確に質問を理解できないといったストレスを経験したことも重なっている」と推測されている。方言等、微妙なイントネーションの違いによって意味が全く異なる同音異義語も多い日本語の難しさも一因となっているのだろう。
しかし、ジャストシステムが1月23日に発表した「人工知能(AI)&ロボット月次定点調査 2018年総集編」によると、調査対象である全国の17歳から69歳の男女1100名の内、約8割が「AI音声アシスタント」を認知しており、約4割は利用経験があると回答している。さらに、2017年11月度調査では4.5%だったスマートスピーカーの所有率は、2018年12月度調査では9.3%と倍増。およそ10人に1人がスマートスピーカーを所有しているという結果に。スマートスピーカーに関しては、認知率も飛躍的に高まっており、2017年6月度調査では43.5%だったものが2018年12月度調査では82.1%にまで上昇している。諸外国に比べると緩やかではあるが、日本でも着実にVUIが浸透しつつあるのだ。