現在のVUI応用事例

 日本でもその有用性が認知されつつあるVUI。現時点では、どういった物に採用されているのだろうか? 具体例を見ていこう。

●スマートスピーカー
 Amazonの「Amazon Echo」やGoogleの「Google Home」に代表される、対話型の音声アシスタントが搭載されたスピーカー。音声による検索や音楽再生、予定や受信メール、ニュースの読み上げだけでなく、対応するスマート家電やIoT機器との連携によって照明や家具、テレビといった家中の家電を音声で操作することも可能。できることが分かっていればVUIの大きなメリットである「ハンズフリー」の便利さを体感できるが、「スキル」や「アプリ」と言われる各機能の呼び出し方(話しかけ方)を知らないと、できることはかなり限られてしまう。

 また、一般家庭だけでなく、ショッピングセンターや飲食店の店頭に設置されるケースも。パルコの一部店舗ではエスカレーター前等、店内に設置されたスマートスピーカーに話しかけることで、ショップや取り扱い商品等の情報を検索できる。飲食店を運営するロイヤルダイニングは、音声でメニュー注文を行う実証実験として、Amazonの小型スマートスピーカー「Amazon Echo Dot」を設置した音声注文専用席を用意して話題を呼んだ。

●スマートフォン
 基本的に画面ありきのデバイスだが、音声のみで端末を利用できる手段も用意されている。例えばiPhoneであれば、画面上に表示されている文字の読み上げや画像の内容を声で説明してくれる「VoiceOver」を使用できるし、Android端末でも画面上の文字を読み上げてくれる「TalkBack」を使用できる。これらは「出力」に関する機能だが、テキスト入力をはじめとする「入力」に関しては、今や各端末に標準搭載されている音声アシスタント(iPhoneならSiri、Android端末ならGoogle Assistant)によってかなりの範囲をサポートされている。

 さらに米Googleは2018年10月2日、音声のみでAndroid端末を操作できる「Voice Access」アプリを公開している。声掛けによって画面のスクロールやスワイプ、ホーム画面へ戻るといった「入力」を行うことができるのだ。現在は英語のみに対応しているが、今後サポートする言語は増えていくという。

 こうした機能は主に身体的にハンディキャップを抱えた人々に向けて提供されているもので、今後も進化していくだろう。また、最近ではAppleの「AirPods」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Ear Duo」をはじめとする「ヒアラブル端末」が注目されていることもあり、簡単なメッセージの送受信等はわざわざスマートフォンを取り出すことなく行うことが当たり前になっていくのかもしれない。

●クルマ
 自動運転技術の発達と共に注目されている分野。メルセデス・ベンツ日本が2018年10月18日に発表した新型「Aクラス」には、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」が搭載されている。自然言語認識により高い精度で車両操作関連の文章を認識・理解できるとしており、「温度24度」という具体的な指示でなくとも、「暑い」の一言で車内の温度を下げることができるという。このように、自動車メーカーが独自開発した音声アシスタントが採用されることは少数派で、スマートスピーカーやスマートフォンで使われている他社製の既存アシスタントが用いられることが多い。

 例えば2018年10月15日、LINEは同社の音声アシスタント「Clova」と車載器を連携させる「Clova Auto」をトヨタ自動車のナビゲーション基盤と統合し、ナビゲーション機能までを統合したスマートフォンアプリケーションを2019年夏より提供することを発表した。これにより、車を運転しながら家の電気を消す、目的地の天気を調べる、LINEメッセージの送受信といったことが音声のみで実現できるだけでなく、「ねぇClova、東京タワーまでの行き方を教えて」「東名高速道路の渋滞情報を教えて」といった声かけで目的地検索やカーナビゲーションまでできるようになる。

 運転中は当然よそ見はできないし、ハンドルを握っているため両手が塞がっている。「ながら」操作ができるという特徴を持つVUIとの相性は抜群だ。