最後に~筆者(平鍋)より

 3回の連載で「KDDI DIGITAL GATE(KDDI)」「富士通アジャイルラボ(富士通)」「Agile Studio Fukui(永和システムマネジメント)」を紹介した。3社ともに、DX、アジャイル、クラウド、といった時代のキーワードを捉えて拠点を開設している。

 KDDIからは通信事業者だから提供できるインフラやサービスと新技術、国内で数年前からアジャイルの内製部隊を自力で組織した強みを感じた。また富士通は、品質へのこだわりと、新規開発のみならず既存システムのモダナイゼーションも視野に入れた広い守備範囲を強みにしている。そして当社(永和システムマネジメント)は、日本アジャイルの老舗としての使命感と、福井という地方拠点を逆に人材の強みにしている点が特徴的と言える。エンジニアの働き方改革と、技術とビジネスの直結を地方から発信していきたい。

 日本国内には他にも「アジャイル拠点」が増えている。筆者は、こういったエンジニアがビジネスと共創する時代の到来に、将来の日本のソフトウェア産業の構造変化を感じている。

 もともと、アジャイル開発が発祥した米国と、受託開発中心の日本では産業構造が異なっている(図1)。米国ではユーザ企業に多くの人材が所属するが、近年この流れはさらに加速し、特に金融などの垂直産業がどんどんITエンジニアを採用している。逆に日本はITエンジニアがベンダー側に偏在しているが、ここにきて、Webやモバイルのサービスを事業のコアに据える企業ではエンジニアを採用することが普通になってきた(下の図)。

 これを踏まえて、今後、日本のユーザ企業とベンダー企業の関係は大きく変わるのではないか、と筆者は見ている。米国のようにユーザ企業がIT人材を採用する流れは急には進まない。そうなると、ことさらDXの文脈ではベンダーとユーザが協力して、最終消費者に価値を届ける活動を行う必要がある。その1つの取り組みが、この「アジャイル拠点」とそこでの共創サービスなのである(下の図)。

(第1回)「5G時代のビジネス開発拠点を開設、KDDIの狙いとは」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54456

(第2回)「アジャイルと「富士通品質」は両立できるのか?」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54464