KDDI DIGITAL GATEのエントランスにて。センター長の山根隆行さん(右)と筆者

 日本国内でアジャイル開発、PoC(Proof of Concept)開発、DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する部隊を拠点化する動きが現れている。「アジャイルラボ」「デジタルセンター」などと呼ばれる場所を作り、そこで顧客と一緒になった「ビジネスの共創」を目指そうという取り組みである。

 今回から、その事例として「KDDI DIGITAL GATE(KDDI)」「富士通アジャイルラボ(富士通)」「Agile Studio Fukui(永和システムマネジメント)」の3拠点を紹介する。それぞれの所長にインタビューを行い、取り組みの狙いや施設の特徴などを語ってもらった。第1回は、「KDDI DIGITAL GATE」のセンター長である山根隆行さんに話を聞く。(第1回/全3回、聞き手は平鍋健児:永和システムマネジメント代表取締役)

ビジネスと技術はなぜこれほど接近しているのか

──KDDIは2018年9月5日に「KDDI DIGITAL GATE」(東京・虎ノ門、以下「GATE」) を開設しました。ここはどういう場所ですか?

山根 近年、法人のお客さまの間で、ビジネス変革のためのIT活用、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)を求める動きが強まっています。当社にも、「5G/IoTを活用した新ビジネスを始めたいのだが、どこから始めればいいだろうか」といったご相談が数多く寄せられるようになりました。

 そのような背景の中、お客さま企業のデジタルトランスフォーメーションを加速することを目的に本施設を開設しました。ここでお客さま企業と共に、ユーザー体験をベースとした課題や問いの探索、プロトタイプ開発を行い、「顧客価値検証」「ビジネス価値検証」「技術的実現性の検証」をワンストップで迅速に実施します。最終的に、市場価値の高いサービスをいち早く社会に提供することがゴールです。

──なるほど、やはりDXの課題意識を持つお客様が増えているのですね。「顧客価値」「ビジネス」「技術的実現性」の3つの検証を挙げられましたが、なぜ今、ビジネスと技術がこれほどまで接近しているのでしょう?