永和システムマネジメント(福井市)が開設した「Agile Studio Fukui」。畳のスペースがある

 日本国内でアジャイル開発、PoC開発、DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する部隊を拠点化する動きが活発化している。「アジャイルラボ」「デジタルセンター」などと呼ばれる場所を作り、そこで顧客と一緒になった「ビジネスの共創」を目指そうという取り組みである。

 その事例として、「KDDI DIGITAL GATE(KDDI)」「富士通アジャイルラボ(富士通)」「Agile Studio Fukui(永和システムマネジメント)」の3拠点を紹介する。それぞれの所長にインタビューを行い、取り組みの狙いや施設の特徴などを語ってもらった。第3回は、筆者が代表を務める永和システムマネジメントが2018年9月に立ち上げた「Agile Studio Fukui(アジャイルスタジオ福井)」を紹介したい。登場するのはAgile Studio Fukui ディレクター・岡島幸男。Agile Studio Fukuiのスタッフによるインタビューの模様をお届けする。(第3回/全3回、平鍋健児:永和システムマネジメント代表取締役)

リモート開発の環境が整ってきた

──今回「Agile Studio Fukui」を設立しました。どういう経緯で作られたのでしょう?

岡島 これまで、当社(永和システムマネジメント)がアジャイル開発を受託する場合、主に「アジャイル事業部」が担当していました。ところが最近、他の事業部にもアジャイル開発の要望が多くなり、私の所属する「ITサービス事業部」(より広く受託開発をする部門)でも売上の4割がアジャイル開発になっています。アジャイル開発を求めるお客様が増えてきているのです。

 また、当社ではアジャイル開発を、福井にある本社と、東京・神田にある支社の両方で行っています。比率的にはやはり東京が多いのですが、福井でも本格的にアジャイルに取り組むチームを作りたいと考えるようになりました。実際に国内でリモート開発を行う事例も増えてきます。

 以上の状況を踏まえ、リモート開発が成り立つ環境が整ってきたという判断からAgile Studio Fukuiを設立することになりました。

岡島 幸男(おかじま・ゆきお)氏
金融機関向けの情報系システム開発、Web開発のアーキテクト、組込開発のマネジメントの経験を得て、現在はAgile Studio Fukuiにて、クラウド+アジャイルによる受託開発事業を担当。著書に『ソフトウェア開発を成功させるチームビルディング』(ソフトバンククリエイティブ)。『受託開発の極意―変化はあなたから始まる。現場から学ぶ実践手法』(技術評論社)他。