いまや世界の片隅か? 期待外れの「消極的」展示

本音の「東京モーターショー2013」レビュー(前篇)
2013.12.19(木) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
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トヨタのショーブースの中で「明日のクルマ」像を語りかけるステージに並べられた燃料電池(Fuel Cell)とモーターを動力源とする乗用車の骨格概念模型とその上に構築することを想定したコンセプトカー「FCVコンセプト」。居住空間と動力システムをどう“パッケージング”するか、それをどんなメカニズムとものづくりによって実現するか、という基本的な設計感覚が、現状の自分たちの量産手法に縛られていて、次の世代に向かう時に求められる創造性が見えてこないのが残念。(撮影:筆者)
ダイハツの展示の主ステージを飾ったのは2代目「コペン」だったが、もう1つのステージには自社開発を進めている液体燃料を使う燃料電池の最新開発品と、それを搭載して電動走行する実働コンセプトカー「FC凸(デコ)DECK」を展示していた。左手前に見える大小の箱は燃料電池を定置型、あるいは可搬型の電力源として使うというコンセプトの提案。左手奥のトラック頭部を想定した角形コンセプトカーは、この形で軽自動車の寸法枠に収まっていて実走できる。(撮影:筆者)
日産が「ショーの華」としてステージに展示した3台。左から「ブレードグライダー」「iDXフリーフロー」「iDX NISMO」。ブレードグライダーは2012年ル・マン24時間レースの特別枠に日産の支援で出場した「デルタウィング」の台形4輪配置に新しいスタイリングを試みたもの。iDXは1967年に登場して日米で一時代を画したブルーバード「510型」を下敷きにリメイクしたスタイリングスタディで「iDX NISMO」は当時アメリカの欧州型レースに出場していたBRE(ブロック・レーシングエンタープライゼズ)のマシンのカラーリングを再現。いずれも「デザイナーの遊び」としての要素が強い。(写真:日産自動車)
「i-ROAD」の走行イメージ。前2輪はリーディングアーム(車輪から後に伸びた腕の先を車体に固定、そこを揺動軸とする)、後1輪はトレーリングアーム(車軸から前に伸びた腕の先を車体に固定、そこを揺動軸とする)の車体側支持点で大きく転舵して低速小回りする、というサスペンション設計では自動車らしい速さで直進、旋回できる資質を実現するのは難しい。 (写真:トヨタ自動車)
前を2輪にして、それぞれにストローク(伸縮運動)しつつモーターサイクルとしてリーン(旋回時内傾)し、その全体を転舵させるメカニズムを組みこんだスクーター、ピアッジオMP3。2006年に市場投入され、日本でも販売されている『実用品』。例えばヨーロッパの都市に多い石畳の路地でも転倒の不安なく走り回れて、しかもモーターサイクルらしい運動性も持つことから新しいカテゴリーとして認知されるまでになった。(写真:Piaggioホームページより)
メルセデス・ベンツが1997年に製作、公開した実走コンセプトカー「F300」。前2輪・後1輪による「リーン(内傾)旋回」による新しい運動性を試み、かつ超小型モビリティの可能性を提案した事例の1つ。この後、4輪でタイヤのみ旋回時に内傾させる「F400」も製作、実験走行を行っているが、その先の展開は未だない。こうした技術的歴史を踏まえて次の提案をすることが新技術実装・実走コンセプトカーの役割である。(写真:Daimler)
自動車専門メディアの誌紙上では「(2人乗りオープン、エンジンをキャビン背後に横置きしていた)ビートの再来」として取り上げられることが多かったホンダ「S660」のスタイリングを訴求するためのモックアップ。右手奥にはホンダにとって「初めての4輪市販車」だったS360が展示されている。これは当時の軽自動車枠(全長3.3メートル×全幅1.3メートル、エンジン排気量360cc)に収めたもので、車体幅を拡げ、排気量を500ccとしたS500とともに51年前のモーターショーに出品された。ホンダの展示物の中では、このS360と、1964年にF1グランプリに初めて参戦した時のRA271型、初代スーパーカブの3車が「人間と企業の知恵と労力の結晶」ならではの訴求力を持って佇んでいた。(撮影:筆者)
東京モーターショーに出展された「NSX CONCEPT」(上)と、それに先行してアメリカで公開された「2代目NSX 試作車両」(下)。東京モーターショーに展示されたモックアップは量産スタイリング検討用かそれに近いもので、2012年初めの北米オートショーで展示されたイメージモデルよりはリアルなディテールを持つ。それでも生産を前提にした試作・開発試験車両と比べると、フロントマスクなどに外装の装飾部品がいろいろ付いていることを別にしても、プロポーションやボディ面の造形が生む雰囲気などに違いがある。これが「スタイリングモックアップ」と「現実のクルマ」の差である。(写真:本田技研工業)

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