東エルサレムのエルサレム・メディア・コミュケーション・センター(JMCC)は面白い世論調査(1月29日-31日)の結果を伝えている。ガザ戦争後に、オバマ新大統領の出現を受けてパレスチナ人の28.1%が中東和平の進展を期待したのだ。オバマ就任と紛争解決は関係ないと断じた48.2%には及ばなかったものの、JMCCの世論調査でオバマこそ、これまで一番高い評価を受けたアメリカ大統領にほかならない。
さて、オバマの新中東政策は、イスラエル・パレスチナ、イラク、イラン、アフガニスタンに広がる中東地域を密接不可分の構造としてとらえながら、地域固有の問題性に取り組む一方、全体を戦略的に包括するドラマティックな接近に取り組むものと思われる。オバマの包括的アプローチの軸として3点が考えられる
オバマの中東施策3点
第1は、ガザやパレスチナ問題に限らず、中東における米国の利益は同盟国イスラエルの存在を尊重しながらも自らの外交感覚を柔軟に多角化・複眼化し、アラブ友好国のリージョナルな安全保障をグローバルな反テロの観点からも大事にする点にある
第2は、イランの核武装を阻止し、中東問題を包括的に解決するためにも、イランとの関係改善のために対話を開始することである。イランは、アラブ世界ではガザのスンナ派のハマス、レバノンのシーア派のヒズブラといったイスラム原理主義とナショナリズムを結合した準国家体への影響力を強めながら、湾岸大国から地中海東部に戦略的前進拠点をもつ中東全体に力を振るう地域大国に成長した。オバマの中東政策の要は、イランとの関係改善の可否になるだろう。
第3に、イラク中央政府の権限を安定的に強めながら、当面はクルド自治地域の一方的な独立を許さずに治安や経済復興にメドが立つとともに撤兵する。これと連動しながら、アフガニスタンの民生安定と地域復興のためにタリバンの秩序破壊やアルカーイダと手を組んだテロにはパキスタンやイランなど近隣諸国と提携して対処する。