まずは、簡単な問題を1つ。「今、一番新しい国はどこでしょう?」
「南スーダンかな? だけど、7月独立宣言をする“予定”だからまだか」
「コソボ?」
「いや、そのあと、ロシアに後押しされてグルジアから独立宣言した南オセチアやアブハジアもあるぞ」
「最後に国連に入ったモンテネグロだ」
世界で50カ国以上が承認する国を日本はなぜか知らんぷり
いろいろと考えてしまうが、日本国民にとっての正解は、意外にも「クック諸島」である。ニュージーランドと自由連合制を取り、二十数カ国にしか国家承認されていない国連未加入のこの「国」を、3月25日、日本政府が国家承認したからである。
ハローキティの硬貨を発行したことで日本人にはそれなりに馴染みある地とはいえ、東日本大震災後の大変な時期に、なぜ承認したのかという理由は伝わってこない。
その一方で、世界で50カ国以上が国家として認めているのに、日本は知らんぷりを続けている西サハラからは全権大使が来日し東北の被災地を訪問したのだが、国家承認するという話は聞こえてこない。
コソボの時と同様、はっきりとした独自の主張を持った基準は見えてこないが、とにかく自分が国籍を持つ国が承認したものが自分にとっても国、ということになるのである(そういう意味では、日本人にとって北朝鮮は国ではないことになる)。
「国」というものを考える時、基本となるのが「ウェストファリア・システム」と呼ばれる国家主権が確立された体制である。
16~17世紀にかけてヨーロッパを焦土と化した宗教戦争が30年戦争をもってようやく終結した際、ドイツのウェストファリア(ヴェストファーレン)で結ばれた講和条約の精神に則るものだ。
争いの種となったカトリックとプロテスタントを同権と認めることに始まり、国家がお互いの領土を尊重したうえで、内政干渉を控えることにしたのである。