報道によると、10日に取りまとめが予定されている追加経済対策の規模と内容について、政府・与党は8日、事業規模を56兆5000億円、2009年度補正予算案に計上する財政支出(「真水」)を15兆円程度とする方針を固めた。GDP比は約3%ということになる。15兆円という「真水」の規模は、これまで最大だった1998年度第3次補正予算(約7兆6000億円)の2倍。一般政府債務残高が170%を超えており、先進国で財政事情が最も悪い日本が、最もアグレッシブな財政面からの景気刺激を試みることになった。政府は2009年度補正予算案を、大型連休前にも国会に提出する方針。

 債券市場が最も関心を寄せている追加対策の財源については、2009年度当初予算に計上された経済緊急対応予備費(1兆円)のほか、いわゆる「埋蔵金」のフル活用として、財政投融資特別会計の金利変動準備金の取り崩し(朝日新聞の9日朝刊によると「最大で3兆円程度」)などが行われるものの、残る10兆円を超す部分については赤字国債・建設国債が増発される見通し。なお、読売新聞の9日朝刊は、上記「金利変動準備金など」から「3兆~4兆円」を充てる方針、という書き方をしており、朝日など他社の報道とはニュアンスがやや異なる。いずれにせよ、国債増発規模は10兆円超で、2009年度当初予算に計上された33兆2940億円と合わせると、43兆円を超える過去最大規模となる(従来の過去最高は1999年度の37兆5136億円)。

 2009年度の国債増発規模については、対策に直接かかわる「10兆円超」に、先行きさらに上乗せされていくことが、市場でも意識されている。2009年度税収の下振れが4兆~5兆円程度、現時点で見込まれている(朝日 9日朝刊)ものの、それを穴埋めするための赤字国債増発は、まだ年度当初ということで、見送られる。また、金融対策の上乗せに伴って、財投債の増発も必要になってくる。

 追加対策の内容については、一言で表せば「総花的」。過去最大の10兆円を超す「真水」を目指す、という「規模」が先に立って、あとから中身を埋めていこうとする手法が取られた結果、考えられるメニューがすべて並べられたという印象が非常に強い。