日銀短観3月調査の業種別計数・調査全容が、2日に公表された。

 1日に発表された短観の概要ではすでに、大企業の業況判断DIが、輸出関連の主力である「一般機械」「電気機械」「自動車」の3業種で過去最低水準を更新したことが明らかになっている。それら業種の数字を、業種別計数・調査全容から拾ってみた。輸出急減ショックが景気牽引役に及ぼした影響の大きさが浮かび上がる。特に、「自動車」の各種DIは悪化が著しい。内外需要が急減したことで、在庫(含む流通在庫)、さらに生産設備や雇用人員の過剰感が一気に強まった。

 もう1点、筆者作成の短観業種別計数リポートで毎回恒例になっていることだが、消費者と直面している業種のデフレ状況を確認しておきたい。販売価格判断DIと国内での製商品・サービス需給判断DIは、個人消費関連3業種(「小売」「対個人サービス」「飲食店・宿泊」)で、一段の悪化となった。

(A)販売価格判断DI(「上昇」-「下落」)

大企業
「小売」 ▲29(前回調査比27ポイント低下)、先行き予測▲25
「対個人サービス」▲18(前回調査比11ポイント低下)、先行き予測▲18
「飲食店・宿泊」 ▲18(前回調査比15ポイント低下)、先行き予測▲26

中小企業
「小売」 ▲25(前回調査比12ポイント低下)、先行き予測▲18
「対個人サービス」▲28(前回調査比8ポイント低下)、先行き予測▲33
「飲食店・宿泊」 ▲24(前回調査比18ポイント低下)、先行き予測▲29

(B)国内での製商品・サービス需給判断DI(「需要超過」-「供給超過」)

大企業
「小売」 ▲38(前回調査比6ポイント低下)、先行き予測▲36
「対個人サービス」▲40(前回調査比6ポイント低下)、先行き予測▲38
「飲食店・宿泊」 ▲60(前回調査比6ポイント低下)、先行き予測▲63

中小企業
「小売」 ▲49(前回調査比9ポイント低下)、先行き予測▲49
「対個人サービス」▲45(前回調査比2ポイント低下)、先行き予測▲47
「飲食店・宿泊」 ▲57(前回調査比2ポイント低下)、先行き予測▲56

 輸出依存である日本経済の牽引役がフリーフォールに近い悪化となっている上に、消費関連業種のDIは国内におけるデフレ圧力の一層の強まりを示しており、長期金利低下予想を補強する材料となる。