今まで存在しなかった学問=「休養学」を提唱
私は一般社団法人日本リカバリー協会代表理事であり、「休養学」という学問を提唱している片野秀樹といいます。世界中すべてを調べたわけではありませんが、休養学と銘打った学問は、海外を含めてまだほかにないはずです。
「疲労」は全人類にとって共通の問題ですが、特に、日本はかつて疲労大国と呼ばれ、自分を犠牲にして働くことが美徳だと思われていました。現在でもその傾向はあり、多くの人が「休むこと=なまけること」だと捉え、休むことに罪悪感を抱いています。これは大問題だと私はつねづね思っているのです。
健康づくりの三大要素は「栄養・運動・休養」です。この3つのうち、栄養と運動に関しては学問的な体系化が進んでおり、子どもに限らず大人も教育を受ける機会があります。運動については小学校から体育の授業がありますし、体育大学もあります。運動生理学やスポーツ科学など、スポーツに関連する学問もさかんに研究されています。
栄養も同じで、小学生のときから家庭科で栄養の基礎について学びますし、栄養学を専門に学べる大学もあります。
ところが休養だけが、学問として確立していません。おそらく「ただじっとしていればいいのだから、休むことは誰にでもできる」「わざわざ学ぶような話ではない」と思われているからでしょう。