米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、これらすべての製造能力を持ち、AI向け半導体の製造プロセスを効率化できる点がサムスン電子の強みだと報じている。

 商務省によると、サムスン電子はテキサス州テイラーの2つの工場で、ファウンドリー事業向けに4ナノメートル(nm)品および2nm品を生産する予定だ。これら最先端品の生産ラインは26年と27年に稼働する。こうしたサムスン電子の事業プロジェクトでは、建設分野で1万7000人、製造分野で4500人の雇用が創出されると商務省はみている。

ハイテク部品の国内生産復活へ

 米国では22年8月に半導体の生産や研究開発に527億ドル(約8兆1400億円)の補助金を投じる「CHIPS・科学法」が成立した。同法はバイデン政権の産業政策の中心に位置付けられ、国家安全保障と経済成長に不可欠とされるハイテク部品の国内生産を復活させるために政府資金を活用する。

 米国は90年代に世界半導体生産の3分の1以上を占めていたが、そのシェアは20年に約12%まで低下した。ジーナ・レモンド米商務長官は記者団に対し、「米国のサプライチェーンは極めて脆弱(ぜいじゃく)な状態にある」と懸念を示した。

 商務省は24年4月8日、半導体ファウンドリーで世界最大手のTSMCの米国工場に対し、最大66億ドル(約1兆200億円)を補助すると発表した。TSMCはアリゾナ州フェニックスで2つの工場を建設中だが、新たに第3工場を設けて先端半導体を生産する。同社のアリゾナ州への総投資額は650億ドル(約10兆500億円)になる。

 インテルは24年3月、最大85億ドル(約1兆3100億円)の補助金を獲得した。同社は米国の4州に新しい工場を建設する計画で、今後5年間の投資額は計1000億ドル(約15兆4600億円)以上になる見通しだ。