住宅ローンは変動から固定に借り換えるべきか?

 2019年以降、長期金利の上昇を受けて固定金利型住宅ローンの金利が上昇する一方、変動金利型は超低金利が続いてきたが、2024年になっていよいよ変動型の住宅ローンの金利が上がるのではないかという観測が強まっている。これから住宅ローンの利用を考えている人も、すでに変動型を利用している人も、金利上昇への対応が求められることになりそうだ。いったいどうすればいいのか、住宅ジャーナリストの山下和之氏が解説する。(JBpress編集部)

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短期プライムレート上昇の前に「最優遇金利」引き上げの可能性も

 住宅ローンには大きく分けると、市中の金利動向にかかわらず金利が変わらない固定金利型と、市中の金利動向によって適用金利が変わる変動金利型がある。固定型は長期金利に連動し、変動型は短期金利に連動する。

【図表1】にあるように、長期金利のベースになる長期プライムレート(銀行が優良企業向け貸し出す際の最優遇金利)は、1.00%以下の超低金利が続いていたが、2019年には1.00%を超えて、その後もジワジワと上がり続けてきた。そのため、固定型の住宅ローン金利も上昇し、代表格ともいうべき「フラット35」の金利は2019年には1.11%まで下がったのが、2023年後半には1.96%と2%近い水準まで上がった。

 それに対して、変動型の基準となる短期プライムレートは日本銀行の大規模緩和策、マイナス金利政策のもと、2008年以降16年近く1.475%の低水準で推移しており、2024年1月現在も1.475%が続いている。


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 変動型のローン金利は、多くの金融機関で短期プライムレートに1.00%を上乗せした金利が基準金利となっている。メガバンクのみずほ銀行を例にとると、短期プライムレートの1.475%に1.00%を上乗せした2.475%が基準金利で、そこから金利引き下げが適用されて、最優遇金利は2.10%低い0.375%となっている。

 その0.375%が長い間続いているが、2024年には短期プライムレートの上昇によって、最優遇金利も上がる可能性が高いとみられているわけだ。

 しかも、短期プライムレート上昇の前に、金利引き下げ幅の縮小によって、最優遇金利の引き上げが実施される可能性もある。基準金利の上昇よりは、金利引き下げ幅の縮小による適用金利上昇のほうが先にやってくるのではないかという見方もある。

 いずれにせよ、いま変動型の住宅ローンを利用している人やこれから利用を考えている人は、今後の金利動向、金利引き下げ幅の圧縮などの動向を注視しておく必要がある。まずは現在、変動型を利用している人の注意点を整理しておこう。