入居者は“上級国民”ばかり

 まさに憧れのシニアライフを体現した格好の施設だ。都内の人気エリアということもあり、入居者は相応の費用負担が必要になる。

 居室の広さにもよるが、80歳入居で一時金が3000万円以上(別途月額利用料)、月払いにするのであれば支払いはおよそ40万円以上に上る。60歳入居なら、一時金だけで億を超える。

 結果的に入居者は上場企業の役員経験者や医師、士業のエリートなど、いわゆる“上級国民”ばかりだ。

高級老人ホームには、ゆとりのある高齢者が多い。写真はイメージ(写真:アフロ)

 都内に住む男性Aさんの90代になる母親がこの施設に引っ越したのは、6年ほど前。夫(Aさんの父親)が亡くなった年のことだった。

 Aさんの両親は共働きの公務員で暮らしぶりも質素だったため、父親の遺産は1億円近かった。母親にも同程度の資産がある。

 Aさんは自宅マンションから2駅ほど離れた閑静な住宅地にこの施設がオープンすることを知り、母親を伴って何度か見学に足を運んだ上で正式に入居を決定した。

「見守りや健康面でのサポート体制と最期まで面倒を見てくれる安心感、そして運営が有名な大手不動産会社のグループ企業であることが決め手になった」