市価の10分の1で払い下げられた「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」(写真:共同通信社)
  • 高騰し続けるマンション価格だが、割安な物件を見つける方法は残されている。それは、売り主であるマンションデベロッパーの事業利益から読み解くこと。
  • 入札で取得した土地は割高であることが多く、マンション価格も高くなりがちだが、十分に利益を出しているデベロッパーは適正価格に近いところで分譲する可能性が高い。
  • 実際、市価の10分の1で払い下げられた「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」や再開発を数多く手がける売り主のマンションはほかと比べて割安であることも多い。

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 新築マンションの売れ行きは、物件によって二極化が見られる。それは価格と供給戸数に現れている。

 3月に売り出された平均価格は、史上初めて1億円の大台を超えて1億4360万円となった。その一方で供給戸数は1~10月の累計が昨年の2割減になっている(いずれも不動産経済研究所)。

 すべての物件が売れているのであれば、もっと積極的に供給を増やすはずだが、そうなっていないのは、販売や用地取得に苦戦しているデベロッパーは少なからずいるということだろう。

 これからマンションを買おうと思っている方であれば、価格だけでなく、売り主であるデベロッパーの優劣にも目を向けた方がいい。デベロッパーによって、物件の「割安度」に差が出てくることもあるからだ。

 それではどうやって優劣を判断するのか。一つの基準は、そのデベロッパーが事業を通して上げている利益だ。マンション用地のような大型の用地は必ずと言っていいほど競争入札になる。そうして取得した用地は相対的に価格が高いため、売り出されるマンションも高くなりがちだ。

 逆に、リーズナブルな用地取得ができているデベロッパーは適正価格で販売できるうえに、取得価格が相対的に抑えられているので事業利益も大きくなる。この考え方をベースに、今年度の利益が膨らみそうなデベロッパーを予想し、その売り主のマンションを狙えば、含み益も生まれやすい。

 なお、ここでは2023年中に契約を結んだ住戸の売り上げと利益を想定している。購入者から全額入金されるのは竣工し、物件を引き渡した後だが、竣工時期は物件ごとに異なる。そのため、便宜的な計算であることは留意されたい。

 まずは原価が安く、販売戸数が多い分、売り上げ金額が高く、利益が出やすかった物件として、HARUMI FLAG(晴海フラッグ)がある。先行して分譲された50階建ての超高層タワー「SKY DUO」(総戸数1455戸)には高倍率がついたのでニュースで知っている人も多いだろう。