大和朝廷はかれらに山城の地を与えた。かれらの末裔は後年、その地に広隆寺をたて、聖徳太子の別荘として献上したという。「山城にあそびに来られたときはこの別荘でお昼寝をなされよ」という心つもりだったのだろう、と司馬遼太郎は想像している。

 こういうトリビアを偶然知ることは、また楽しいことである。

屋上から360度奈良市内が見渡せる

 今回の奈良で穴場だったのは、奈良県庁の屋上である。いわば3つ目の小さな目的でもあった。この場所はNHK-BSプレミアムの番組「新街道をゆく 奈良散歩」で知った。番組では高島礼子が感嘆の声を上げていた。

 屋上からは360度奈良市内を見渡せるのである。無料の大きい双眼鏡が設置されていて(1台しかない)、おもしろかった。

 平日だったら、さらにその上の階のテラスまで上がれるということだ。わたしが行ったのは日曜だった。もし行かれることがあるなら、平日をお勧めする。ほとんど観光客がいず、快適である。

 今冬、12月に行くときの目的は、もう二つ考えてある。ひとつは大阪の四天王寺に行くことである。本尊の救世観音菩薩像と四天王像を見てみたい。またすべては1963年に鉄筋コンクリートで再建されたものではあるが、南大門、中門、五重塔、金堂、講堂が南北に一直線に並ぶ四天王寺式という伽藍配置も見てみたい。

 もうひとつは、これも東大阪にある司馬遼太郎記念館に行くことである。『街道をゆく』全43冊を読み続けていて、最近ますます、司馬遼太郎への敬意が高まっている。記念館には前から行ってみたかったのだが、今度は必ず行くことにしたい。