マッチングアプリの走りとして知られる米Tinder。婚活や恋人探しなどの出会いのためにマッチングアプリは普通に使われている(Jonathan Raa/NurPhoto/共同通信イメージズ)

 おじさんの恋は気持ち悪い。そして切ない。

 少子化・高齢化・晩婚化ニッポン。迫りくる老い、平凡でストレス過多の日常、そんなおじさんの心に舞い降りた恋は、果たして地獄か楽園か。さまざまな中高年男子の恋模様を通して、人生100年時代の恋について考えてみよう。

(若月 澪子:フリーライター)

モテおじさんのアプリ不倫

 今や男女の出会いのきっかけはアプリだという。

「婚活アプリ」は結婚相手探し、「マッチングアプリ」は恋人探し、そして「出会い系アプリ」は、それ以外のフリーな面々、不倫、援助交際、怪しいビジネスや宗教の勧誘などなど欲望がうごめく場だ。

 出会い系アプリで芽生えるおじさんの恋とはどのようなものか。いや、そもそもそれは恋なのか、二人のおじさんの「出会い系アプリの恋」を見てみよう。

 都内在住の会社経営者Aさん(47)は人当たりのいい中年男性。家族は妻と中学生になるお子さんがいる。出会い系アプリを利用し始めたのは、4年ほど前だ。

「脱サラして個人で会社をはじめてから、ネットで完結するためにリアルな交流が減りました。経営者の交流会は、面倒くさいので好きではない。でも誰かと話したい、できれば女性がいいという気持ちでアプリを始めました」

 妻がいるのに、アプリで女性を物色する理由は何か。

「もう妻を女として見ることはできません。子どもが生まれて数年経ってから夫婦生活もない。大切には思いますが、単なる『家族』という存在です」

 Aさんはトキメキを求めて出会い系アプリをうろつき、そこで30代の既婚女性マリコさん(仮名)に出会った。

「彼女はノリがよく、すぐに意気投合し、2日後にはLINEを交換しました」

 Aさんのアプリ不倫はマリコさんが初めてではない。マリコさんの前にもアプリを通じて30~50代の女性数名と関係を持っていた。

「『何が目的?』と聞いて『出会いです』という相手なら、だいたい次に持っていけます」

 Aさんは遊び慣れている。でも、ほかの女性たちとは1度きりだったのに、マリコさんとは2年にわたって関係が続いた。

理想の相手を見つけるために、マッチングアプリを使うおじさんも増えている(写真:アフロ)