日本を代表する東京大学を卒業しても世界的には高給取りにはなれない?(写真:アフロ)

経済の長期低迷と為替の円安基調が相まって、“安いニッポン”という言葉がよく使われるようになった。国民は昨今の物価高を心配しているが、海外と比較すると日本はどのような状況なのか。ツイッター上で「May_Roma」(めいろま)として鋭いツイートを続ける元・国連専⾨機関職員の⾕本真由美氏が明かす日本の実態とは。

(*)本稿は『激安ニッポン』(⾕本真由美、マガジンハウス)の一部を抜粋・再編集したものです。

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オーストラリアの介護アルバイトで月収80万円超

 日本が低迷しているのは物価だけではありません。「給料」もずっと低い水準のままなのです。

 実はもうすでに、日本の若者が安すぎる給料に耐えかねて、海外に出稼ぎに行く流れが起きているのです。

 NHKのニュース番組が海外に出稼ぎに行っている若者50人に取材をしています。そのうちのひとり、オーストラリアで介護のアルバイトをしている20代の女性は、1週間で22万円以上も稼いでいて、月収は最も多いときで80万円を超えていると言います。日本の介護職の平均月収は25万円程度なので、この女性は日本で働くより3倍以上も稼いでいることになります。月収80万円だと、年収は960万円にもなります。

 ここで、日本で一番の大学である東京大学の卒業生の平均年収を見てみます。OpenWorkの2022年の調査によると、東大出身者の30歳時の年収は平均761万円です。つまり、海外で介護職についているアルバイトの女性の年収が、東大卒の人の平均年収を200万円近くも上回っていると考えられるのです。

 日本で安い給料で働くより、海外に飛び出して稼ぎたいと思うのは当然ではないでしょうか。