ここ約2年、TVerなど配信についての報道が増えたのに対し、視聴率の記事が減った。背景には3年前に「世帯視聴率」が、どれくらい番組を見られていたかを測る指標の主役の座を降り、観ている人の性別から年代まで細かく分かる「個人視聴率」の時代になって、情報収集と分析が依然より難しくなったことがあるだろう。

 視聴率上位局の中には、「下位局が視聴率争いから目を逸らさせようとプロパガンダを行っているから視聴率の記事が減った」と見る向きもある。また、各番組の記事についても「一部の局は自分たちに有利になるよう工作しているのではないか」という声も聞こえてくる。

本当に「視聴率の時代は終わった」のか?

 にわかには信じがたい。メディアの記事の内容にテレビ局が操っているとしたら、リスクがあまりに大きすぎる。もしもそんな事実が明らかになったら、報道機関による風説の流布となり、その局は壊滅的打撃を受ける。日本テレビの社員が行った2002年の「日テレ視聴率買収事件」以上の事態になる恐れがある。

 ただ、こうした疑念が生じやすくなっている背景として、民放界が低成長時代で、競争がより熾烈になっているという実態はある。だからこそ、テレビ局はお互いに、他局に関する報道にも目を光らせている。民放界の現実は生き馬の目を抜くような世界だ。

 もっそも、記事が減ろうが増えようが、民放ビジネスの中心が視聴率であるのは動かぬ事実。自動車メーカー業界の新車販売台数、銀行業界の預金残高のようなものである。視聴率と番組の質は別次元であるものの、「視聴率の時代は終わった」などと言うのは情緒論に過ぎない。