ロシア軍が残していった旧式戦車T-62を整備して前線に送るピーター(筆者撮影)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

過熱するドローン攻撃

[ウクライナ中部クリヴィー・リフ発]ロシア軍は5月29日午後11時半から30日午前4時半にかけ、キーウに改めてイラン製カミカゼ・ドローン(無人航空機)シャヘド131と136による集中攻撃を仕掛けた。ウクライナ軍参謀本部は31機のうち29機を撃墜したと発表した。反プーチン武装勢力による露ベルゴロド州侵攻に対する報復とみられる。

 これとは別に、ロシア国防省は、ウクライナ軍が30日朝に8機のドローンでモスクワを攻撃、うち5機は撃墜され、残り3機も電子戦システムで抑止されたと発表した。ウクライナのロシア軍占領地域の兵站への攻撃などウクライナ軍による「春の反攻」の地ならしが着実に進む中、双方の首都へのドローン攻撃の激しいつばぜり合いが始まった格好だ。

 ロシアの政治的宣伝者は、ウクライナ軍が32機のドローンを発射し、19機は撃墜され、10機は木に引っ掛かって落下、3機は住宅を直撃したと主張している。このうちいくつかはウラジーミル・プーチン大統領をはじめとするロシアの政財界エリートたちが別荘を構えるモスクワ近郊のルブリョフカを狙ったという。

 ロイター通信によると、ウクライナ大統領府顧問ミハイロ・ポドリアック氏はウクライナがモスクワへのドローン攻撃に直接関与していることを否定した。その一方で「こうした攻撃の数が増えていることは喜ばしいことであり、予測もしている」と今後、モスクワへのドローン攻撃が増加する可能性に言及した。