5月10日、ロシア軍の砲撃で全焼したマロカテリノフカ村の民家(筆者撮影)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「反攻開始の準備はできている」

[ウクライナ南部ザポリージャ州発]ウクライナのゼレンスキー戦時内閣の中枢を担うオレクシー・ダニロフ国家安全保障・国防会議書記が27日、英BBC放送のインタビューに応じ、「ウクライナ軍による反攻開始の準備はできている。明日、明後日、または1週間以内に開始できる」と自信をのぞかせた。しかし時期についてはあいまいにしたままだ。

 ウクライナを支援するジョー・バイデン米大統領が来年の大統領選での再選を目指す中、米欧の支援を受けたウクライナ軍が「春の反攻」で目覚ましい戦果を上げられなければ、支援が先細りになる恐れがある。ウクライナにとっては領土奪還という軍事的な成果は米欧の支援をつなぎとめる政治的な意味を持つ。

 こうした状況を受け、ダニロフ氏は「神によって私たちの国に与えられた歴史的な機会を失ってはならない。ウクライナ政府に反攻の決断を間違う権利はない」と自らを戒めた。「司令官がその時点で最善の結果を得られると判断すれば、攻撃を開始することになる。常に準備は整っている。国を守る準備ができていたのと同じだ。時期は問題ではない」と述べた。

「ウクライナの前には、非常に大きな責任を伴う仕事がある。ロシアのコントロールセンターと軍事設備を破壊することがウクライナ軍の任務である。もし私たちがすべての集落を離れ始めたら、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が戦争初日に思い描いていたようにウクライナの西の国境にたどり着けるかもしれない」と祖国防衛の決意を新たにした。