いつの間にか、賃借人が不法滞在になっている場合もある(写真:アフロ)

(山本一郎:投資家、作家)

中国人街となった私のアパート周辺

 以前の記事「アパート大家の山本一郎が見た、安物件に集うコロナ下の人生模様」でも書いたように、私は都内に物件をいくつか保有しており、様々な方にお貸ししています。その中には、不法滞在が疑われる外国人の一家や、その支援者の皆さんもいました。

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 もっとも、お貸しした当時はそのご家族も適法に入国され働いていましたし、国内でも支援団体の保護がありましたので、入居の際は適法であったと思っています。今でも、複数の外国人ご家族が入居されていて、家賃の滞納もあまりなく、穏やかにお付き合いさせていただいています。

 善意で「何かどうしようもなく困った時は電話ください」と言ったら割とガンガン電話が来るのが難点ではありますが……。

 詳細は省きますが、外国人が日本で物件を借りるのはなかなか大変で、文化も制度も異なる異国の地で家族を養いながら暮らすということは困難なことです。私が東南アジアやロシアなどで家族と共に長期間暮らせと言われたら、私でもあまり自信がありません。単身ならまあ何とかなるかなぐらいでしょうか。子どもがいたらまず無理です。

 私が日本にいる外国人を尊敬しているのは、言葉もまず通じない異国に来て、苦労もありながら暮らしている方々は自分には歩めない人生を歩んでいるな、と思うからです。

 異国から来た皆さんが日本で暮らすことは、少子化が進み、労働人口が大きく減少に転じる日本においてはある程度、受容しなければならないことです。ただ、彼らを単なる労働力と見ず、同じく家庭を構えた隣人としてどう迎え入れるのかという点は、大家として頭を悩ませるところでもあります。

 綺麗事はいくらでも言えるんですよ。でも、現実は状況にも相手によっても異なりますし、非常に面倒くさい事態と向き合うことの連続になります。

 というのも、私が物件を持つあるエリアは、10年前はそこまで多様ではなかったはずが、いつの間にか完全に中国人街となり、地元の日本人が気後れするほど中華な雰囲気になってしまいました。

 別の物件でも、(私は彼らに物件を貸さなかったけど)地元の外国人で成功した人が周辺の中古集合住宅をまとめて買い上げ、同じ民族の人たちに貸し出し、一気に特定の民族の方の集住が進んでいます。

 このようなコロニーができてしまうと、近隣の日本人住民より、やってきた外国人の方が若く活気があるので、ほとんどその国の都市と変わらない文化圏になってしまいます。

 これはこれで仕方ないというか、なるべくしてなった面はありますから受け入れざるを得ないのですが、中には劣勢となった日本人を守れと外部から行ってくる方がいます。それはそれで正論ではありますが、それを言ったところで何も解決しませんから実に困ったものです。