業績が悪化すれば信用スプレッドは拡大する

 一般に、信用リスクが低い国債の利回りを基準に、ある債券の利回りが、満期償還までの期間が同じ国債よりどの程度高いかという金利差(対国債スプレッド)を「信用スプレッド」として使っている。

 信用リスクの低いAAAやAA格の債券の場合には、信用スプレッドが小さく、信用リスクの高いBB格などの債券の場合には、信用スプレッドが大きいわけだ。

 例えば、償還までの期間が5年のA社債券の利回りが1.00%であり、同じ5年の国債の利回りが0.50%であった場合の信用スプレッドは、0.50%となる。

 この信用スプレッドは、債券を発行した発行体の信用度の変化に応じて変動する。

 例えば、A社の業績が悪化して、発行している債券が5年後に返せなくなる危険性が高まってきたとしよう。この債券を転売しようとした場合には、より多くの上乗せ金利をつけなければ売却できなくなり、信用スプレッドは拡大する。

 信用スプレッドは、個別の債券を発行する企業や国ごとに異なるが、世の中の動きを理解しやすいように、格付け別の信用スプレッドが時間とともにどのように変化していったのかを確認できると都合がよい。なぜなら「現在は、資金を調達しやすい時期なのか、それとも追加的に借金するのが難しい時期なのか」という疑問に答えることが可能になるからである。