岸田文雄首相と握手する韓国の尹錫悦大統領(写真:AP/アフロ)

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 2月16日付産経新聞は、「<特報>君が代を初演奏 韓国で天皇誕生日レセプション 日韓関係『あるべき姿に』」と題する記事を掲載、在韓国日本大使館がソウル市内のホテルで行った天皇誕生日の祝賀レセプションにおいて初めて日本の国歌「君が代」が流れたと報じた。

 日本政府は韓国の反日感情の強さから例年、国歌を流すことは見送ってきた。しかし、かつては「天長節」と呼ばれた日本の慶事に日本の国歌を演奏しないのは、どう考えても普通ではない。

「君が代」が軍国主義と結びついているという妄想

 同記事の中で、日本大使館関係者は君が代を“自粛”してきたことについて、「出席者に負担をかけないよう配慮してきたが、過剰な面もあった」と指摘。大使館主催の行事で国歌の演奏は自然なことであり、日韓関係改善の流れの中、今回、「あるべき姿にする」として、韓国国歌とともに君が代を流すことを決めたと説明した、と報じている。

 この産経の記事を受け、韓国「中央日報」はこう報じた。

<日本の国歌『君が代』の歌詞には「君が代は 千代に八千代に 細石の 巌となりて 苔の生すまで」という一節がある。『君が代』を批判する人々は歌詞の中で「君」が天皇を意味し、『君が代』は天皇の治世が永遠に続くことを願うということから軍国主義日本を象徴すると主張する>

 だが、そもそもこれは未だに日本が軍国主義国家だということを前提にした発想であり、韓国特有の反日感情が作り上げた妄想と言うほかない。

 またこの記事によれば、天皇誕生日の祝賀レセプションが行われたホテルの前では反日市民団体がデモを行ったという。ただ、記事の書きぶりから見て、どうやら大規模なものではなかったようである。