ウクライナのような汚職まみれの国は、EUに加盟することはできない。汚職の撲滅が加盟の条件だからである。ウクライナ戦争が、オリガルヒの弱体化のみならず、汚職構造の破壊までももたらすかどうかは、まだ分からない。

バイデン大統領の息子もウクライナ利権に絡む

 オバマ政権のときにバイデンは副大統領であったが、息子のハンターとともにウクライナ利権に深く関わっていたのではないかと疑われている。

 ハンターは、2014年にウクライナのガス企業ブリマスの幹部に就任したが、この企業は検察の捜査を回避するために裏金を使ったという不正疑惑が明らかになっている。2020年10月、米議会上院は、この件について「利益相反の疑いがある」という報告書をまとめており、中間選挙後の下院は共和党が多数派となったので、この件が蒸し返される可能性がある。

かつてウクライナの天然ガス会社の取締役を務めていたバイデン大統領の次男ハンター・バイデン氏(写真:AP/アフロ)

 今回、多数のウクライナ政府高官が汚職で更迭されたことは、西側からの支援にブレーキをかける可能性がある。対ウクライナ支援の財源は、西側諸国の国民の血税である。ウクライナ戦争で光熱費や食料品価格など、諸物価が高騰し、国民は苦しい生活を強いられている。それにもかかわらず、支援の裏側で、それが一部の者の私腹を肥やすために使われたとすれば、怒り心頭に発するのは当然である。「ウクライナ疲れ」どころの話ではない。

 湯水の如く国民の税金をウクライナに注ぎ込んでも、その25%程度が賄賂に使われているとすれば、支援額を25%削減せよという要求が出てきても不思議ではない。

 侵略者ロシアが弾劾されるのは当然だが、「ウクライナが無謬で100%善を体現している」などという幻想は捨てたほうがよい。この国は、ロシアと並ぶ汚職、腐敗大国であることを再認識すべきである。

 武器支援にしても、背後で贈収賄が行われている可能性があるのである。しかし、ウクライナの戦場を新兵器の実験場とし、巨万の富を得ているアメリカの軍需産業にとっては、ウクライナの汚職などはどうでもよいのである。アメリカ兵は戦争に参加しておらず、一滴の血も流れない以上、バイデン大統領も、ウクライナの腐敗など「我知らず」である。

 ロシアとウクライナ、それは「狸と狐の化かし合い」である。ナイーブに狐(ウクライナ)の言うことのみを100%信じる日本人は情けない。これでは弱肉強食の国際社会では生き残れない。