訪中したメドベージェフ露前大統領と会談する中国の習近平国家主席(資料写真、2022年12月21日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 習近平が12月1日を境にはっきりとゼロコロナ政策を撤回し、コロナ「躺平主義」(寝そべり主義=放置)に転じた。すると、北京を中心に新型コロナ感染が一気にアウトブレイク(感染拡大)した。

 PCR検査をしなくなったので、感染者の数は分からない。また死者の数も、「肺炎、呼吸器疾患のみを新型コロナ感染による死者とする。血栓や心筋梗塞、脳梗塞、あるいは基礎疾患がある患者に関しては、コロナ感染による死亡例としてカウントしない」という独自の定義では12月19日に7人で、その前の6日間はゼロが続いている。

 だが、北京市民の投稿するSNSなどでは、火葬場がパンク状態で長蛇の列ができていることや、病院内の廊下にまで遺体が放置されている状況などが告発されている。

 中国疾病予防コントロールセンターの感染症学主席専門家、呉尊友の12月17日の発表によれば、米国、香港などのデータを参考に推計すればこの冬の中国における感染率は10~30%前後、死亡率は0.09~0.16%だという。この発表をもとに香港の星島日報は来年(2023年)4月までに中国で最大4.2億人が感染し、67.2万人の死者が出るだろうと報じている。なんだ、人口規模で考えれば感染は日本並みか、と思うかもしれない。だが、情報統制、情報隠蔽が常の中国で、本当にこの推計通りになるのかは分からない。

同じ舞台に立たなかった習近平と李克強

 そんな新型コロナ激震に見舞われている北京で、12月15~16日に行われた重要会議「党中央経済工作会議」をめぐって、“異変”がささやかれている。