ある病気に罹りやすい体質になってしまうと、そこから抜け出すのは容易ではありません。
本格的にマズいなと思わざるを得ない発表を目にしました。2022年11月15日の日付をもって公開された日本経済団体連合会の「web3推進戦略」(https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/096_honbun.html#ref2)なる作文です。
率直に言って正気でないものを感じました。
何が「正気でない」のか?
のちほど詳細に記しますが、例えば上記「戦略」は、いまこのような推移(https://coinmarketcap.com/ja/currencies/nft/)を見せているNFTを推奨するとしていたりする。
これは正気の沙汰ではありません。しかし、納得もしてしまうのです。
というのも、「WEB3対応」の政府戦略なども検討している私たち東京大学ゲノムAI生命情報倫理コアは、関連の文書にコンスタントに目を通しているからです。
「一昨年の春に目にしたな、去年の9月頃にあったな、今年の春先にこういう話があったな・・・」と思い出される、現状では完全に手遅れになった「政策」群が、誰の手直しを受けることもなく平然と並んでいるように見えてしまうのです。
11月15日時点で電子金融が直面する最大懸念の一つとして、誰もが間違いなくFTX破綻に伴う暗号資産市場の崩壊リスク(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1525M0V11C22A1000000/)を挙げねばならないはずです。
しかし、そうした言及が一つもないのも奇怪な一点です。
いま、内外多くの観測筋は、デジタル資産に対する信用危機が長引くことを懸念し、(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-15/RLD3ZET0AFB401)資金の引き上げが雪崩のように進んでいる。
こんなタイミングで「トークンに投資を」などと、まともな神経で言えるわけがない。
ところが、この騒ぎの渦中、経団連が発表した「戦略」は、先だって6月に経団連が、伊藤穣一(MIT=マサチューセッツ工科大学を退いた後、国内でこんなところにいたのかと思いました)氏を招いて展開させた根拠不明のアジテーション(https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2022/0630_04.html)をほとんどそのまま踏襲している。
これはもう、リスクとか何とかいう以前、カモとして狩場に飛んで行けと煽り立てるような内容で、どうしてここまで修正が利かないのか、率直に申して不思議です。
しかし、日本の役所体質を考えると納得がいってしまうのも事実で、「死に至る病」という言葉を想起せざるを得ません。
まず、何が致命的か具体例から検討してみます。