名前の挙がるやり手の経営者でも、最初から従業員の給料は最低に抑えることとばかり考えている。人件費をできるだけ抑えるのがいい経営者だと思っている。そういう連中は、もともと経営者の資格がないものである。そういう連中がまた経営をやりたがるのだ。最低賃金を抑えること、人件費を「収奪」「搾取」といえるほどまで抑えるのが経営者の手腕だとおもっているアホだと思う。

 この点では、世界中の経営者もそうである。ビル・ゲイツは違うと思うが、ほかの名だたる経営者はみなおなじではないか。とくにウォール街の連中は将軍から二等兵まで最悪である。業突く張りだらけである。

経営者は慈善事業をやれ

 そういう世界のなかの日本の連中(課長程度の者が社長や組織の代弁者となって)がよくいう決まり文句が「うちは慈善事業やってるんじゃねえぞ」である。バカの一つ覚えである。わたしは、経営者は慈善事業をやれというのである。慈善事業をする以外に、会社の存立理由はなにがあるのか。

 中小零細の経営者で、大企業の従業員に負けないほどの報酬を従業員にあたえようと考えている経営者はいるはずである。

 宮沢賢治はやはり偉かった。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」といった。若いころ、この言葉を読んだとき、そりゃ永遠に無理だと思ったが、まずはそう考えることが大事なのである。ロシアのウクライナ侵略を見ていても、この言葉は切実である。

 自分と自分の家族だけの利益を考える経営者ばかりでなく、従業員一番を考える経営者はどこかにいるはずである。